目次 PART3 3-1


 PART3 くらしに身近な所得税法をくわしく学ぶ

 3.1 所得税とはどのような税金か

 所得税は、消費税などとともに、私たちのくらしにもっとも密接な関係のある税金の一つです。所得税は、国税収入で最大のウエイトを占めています。

 所得税は、厳密には申告所得税と源泉所得税とに分けることができます(3.1.1)*。申告所得税は個人の所得にかかる税金で、一方、源泉所得税は、個人だけではなく法人にもかかる税金であり、ふつう申告所得税が所得税としてよく知られています。

 所得税(申告所得税)は、さまざまな課税原則を取り入れてつくられています。これは、課税の公平(1.5.1)*や応能負担を実現することがねらいで、主なものとしては、丸数字1包括的所得概念(資産増加説)に基づく課税所得の範囲の策定(1.2.7)*丸数字2人的控除(3.3.1、3.3.2)*など個人的な事情を考えて課税する仕組みの採用、丸数字3所得額に応じた課税のための超過累進税率(1.2.9)*の適用などがあげられます。

 また、所得税は、基本的に総合所得課税(3.1.4*)を採用しており、その一方で、所得の分類、そして所得ごとの所得算定方式など、分類所得課税の考え方(3.1.4)*のなごりもみられます。さらに、政策的な見地から、租税特別措置として多くの分離課税制度(3.1.7)*が設けられていて、また課税単位としては、個人単位課税(1.2.10)*を基本としています。 所得税法は、ほかの税法と同じように、納税義務者、所得の帰属に関するルール、課税標準、税率、税額の計算や納付の方法、さらには源泉徴収などについて定めています。


 

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