目次 PART2 2-5-1


 2.5.1 住民税とはどのような税金か

ポイント

 住民税とは、都道府県民税と市町村民税(東京都23特別区では、都民税と特別区民税)をあわせた呼び名(通称)です。都道府県および市町村が、その区域内に住所、事務所などを持つ個人および法人などに課す税金です(ただし、東京都特別区では法人住民税は都が課税します。)。一般に、個人住民税、法人住民税とよばれます。


◎住民税とは何か

 「住民税」とは、実は通称で、税法や条例上こうした名称の税目はありません。この呼び名は、道府県民税と市町村民税とを総称するために使われるものです。実務上も、一般的に使われています。

 住民税を課税することができる地方公共団体は、道府県と市町村、そして東京都です。道府県が課税する住民税を「道府県民税」といい、市町村が課税する住民税を「市町村民税」といっています(地税法4、5)。東京都では道府県民税を「都民税」、東京都特別区では市町村民税を「特別区民税」と読み替えて課税されています(地税法1丸数字2)。したがって、住民税は、課税団体を基準とすると、道府県民税と市町村民税とに分けることができます。

 また住民税は、納税義務者が個人か法人かにより、個人住民税と法人住民税に分けられます。


◎住民税の骨子

 道府県民税と市町村民税は、丸数字1「均等割」、丸数字2「所得割」、そして丸数字3「法人税割」に分かれています。また、道府県民税には、丸数字4「利子割」、丸数字5「配当割」および丸数字6「株式等譲渡所得割」があります。丸数字1均等割とは均等の額によって課する住民税、丸数字2所得割とは所得によって課する住民税、丸数字3法人税割とは法人税額を課税標準として課する住民税、丸数字4利子割とは支払を受けるべき利子等の額に対して、丸数字5配当割とは一定の上場株式等の配当等、特定配当等の額に対して、また丸数字6株式等譲渡所得割とは源泉徴収口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡益などの特定株式譲渡所得金額によって課する道府県民税とされています(地税法23、292)。

 個人住民税は均等割と所得割が基本となります。法人住民税は、均等割と法人税割が基本となります。そして、預貯金利子等、配当等、株式譲渡所得等を受領する場合には、個人、法人ともに利子割、配当割および株式等譲渡所得割としての道府県民税が課税されます。具体的な住民税の課税標準や税率などの計算は、これら分類に従って行われます(2.5.2.1)*

 なお、2008(平成20)年度税制改正では、いわゆる「ふるさと寄附金〔納税〕」(2.5.2.2)*が導入されました。

 住民税の課税は、賦課期日(地方税に特有の制度で、課税判定時期の基準日をいい、通常1月1日)現在において判定します。個人住民税であれば、賦課期日に納税者が住所を有する市町村が、課税団体となります。


 

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