目次 PART2 2-1-1


 2.1.1 法人税の申告

ポイント

 決算書、法人税申告書などを作成し、原則として決算期末の翌日から2カ月以内に申告、納税をしなければなりません。法人税申告書は、「決算調整」をして決算書をつくり、さらに「申告調整」をしてできあがります。


◎法人税の申告納税

 法人税の申告は、所得税の場合とは違い、申告時期が一律に定まっていません。法人は、定款などで定めた事業年度ごとに決算を行うことになっているからです(2.1.2)*

 決算期を迎えた法人は、決算書を作成し、株主総会で承認を得ます(会計監査人設置会社の場合、法務省令で定める要件に該当すれば取締役会の承認で確定します)(会社法439)。この決算書をもとに、その法人は、各事業年度の所得に対する法人税の納税申告書(これを「確定申告書」といいます。)をつくり、事業年度終了の日の翌日から原則として2カ月以内に課税庁に確定申告書を提出し、納税することになっています(法税法74)。一事業年度が6カ月を超える法人は、6カ月を経過したあと2カ月以内にその6カ月分について中間申告書(5.3.3)*を提出、納税することになっています(法税法71)。


◎中間申告とは

 中間申告には、(1)前期の実績による予定申告、(2)仮決算による中間申告、(3)いずれの申告書も提出がなかった場合の予定申告、の3つがあります(法税法71)。

(1)  予定申告額は以下の式により求めます。
前事業年度の法人税額×(6/前事業年度の月数)=予定申告額
(2)  中間時点までで仮決算を行い、中間申告書を提出して行います。ただし、この中間申告書により計算した法人税の額が、(1)の予定申告額を超える場合および(1)の予定申告額が10万円以下である場合には、提出できません。
(3)  中間申告書の提出が期限までになされなかった場合は、自動的に(1)の予定申告によるものとみなされます。


◎確定申告書とは

 法人税の確定申告書(5.3.1)*は「別表」とよばれ、申告書(別表一)と各種明細書(別表二〜十九)からなっています(1.4.7)*

 申告期限が休日にあたるときは翌日に延長されます。土曜日にあたる場合も、土曜日が金融機関の休日のため翌々日に延長されます。また、年末年始は、12月29日から1月3日に期限がある場合は、1月4日に延長されます。


◎決算調整と申告調整

 税務調整には「決算調整」と「申告調整」の2つがあります。「決算調整事項」というのは、企業が決算を行う際に、決められた経理をしなければこれを認めないとするものです。一方、「申告調整事項」とは、必ずしも決算において決められた経理をすることは求めないが、確定決算利益を申告書において調整する手続のことをいいます。申告調整事項は、「任意的調整事項」と「必要的(絶対的)調整事項」に分けられます(2.1.3)*


◎税務調整の流れ

 実際の確定申告における決算調整、申告調整の位置づけは次のようになります。確定申告は表の上から下へと順番に行われることになります。

試算表の作成 試算表は、原則として月ごとに作成します。
中間申告 上記のとおりです。
決算整理項目 現金、預金の残高確認/有価証券の評価/棚卸資産の数量確認と価額の決定/
売掛金、買掛金の相手先との照合/仮払金、仮受金等の整理 等々
決算調整 減価償却資産、繰延資産の償却/引当金、準備金の戻入れ、繰入れ/
消費税の納付額計算 等々
計算書類等の作成 貸借対照表/損益計算書/株主資本等変動計算書/個別注記表
事業報告/附属明細書
株主総会 原則として株主総会において決算書類の承認を得ます。
申告調整 確定した決算における当期利益を元に法人税の対象となる所得金額に調整します。
確定申告書の作成 法人税確定申告書とともに、消費税及び地方消費税確定申告書や法人事業税・法人住民税・地方法人特別税の確定申告書を同時に作成します。
計算書類、勘定科目内訳書、法人事業概況説明書を添付します。
税務署に提出 決算日の翌日から原則として2ヵ月以内に確定申告書を提出して、申告税額を納付します。


 

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