目次 II-9


9 どこまでが交際費の範囲となるか(2)

お客様に顧客紹介料を支払った場合
 K社は家具の販売業者ですが、販売促進には口コミが大事ですので、近所の人にお客様を紹介してもらい、そのお客様が10万円以上の家具を購入した場合には、1件当たり5,000円の謝礼金をその紹介者に支払うことにしています。その旨は、新聞のチラシ・店頭ポスター等で周知をはかっています。
 当期は、おかげさまで、60件の紹介があり、支出した謝礼金30万円を支払手数料として計上しました。

調査官の指摘
 謝礼金の30万円は、一種の情報提供料と認められますが、紹介者とあらかじめ契約を結んでいるわけでもなく、交際費に該当するものです。

会社の言い分
 確かに契約は結んでいませんが、チラシ・ポスター等で、謝礼金を支払うための条件を明らかにしており、紹介に対する正当な対価として認められるものだと思います。



税務判断のポイント

 調査官の指摘は誤りで、謝礼金の30万円は交際費に該当しません。

 本事例のように、情報提供を業としていない者に対して紹介謝礼金などの情報提供料を支出する場合、次に掲げる3つの要件をすべてクリアーすれば交際費に該当しないものとされています。

(1)  その金品等の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
(2)  提供を受ける役務の内容が契約で具体的に明らかにされていること
(3)  交付した金品等の価額が相当と認められること

 調査官は、上記(1)の要件が満たされていないと主張したのだと思われます。
 しかし、「契約」の形式は、必ずしも契約書の形で形成されたものである必要はなく、事例のように、チラシ・ポスター等により条件を広く周知させる方法でも差し支えないとされています。

税理士のアドバイス

 情報提供料を支出する場合、その支出が、支出する側の裁量により行われるのではなく、紹介者の側からも、「これこれの情報提供をしたから、約束どおり、これこれの対価をください。」と請求できるような環境を、事前に整えておく必要があります。

【参考法令】  措通61の4(1)−8(情報提供料等と交際費等との区分)

 

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