目次 I−2


2 取締役会制度

 取締役会は会社の業務執行の意思決定、業務執行の監督および代表取締役の選定、解職をする権限を有する。
 取締役会は取締役が招集し、取締役の過半数が出席してその取締役の過半数をもって決議される。(ただし、定款によって要件を加重することはできる。)


1 取締役会の権限

(1) 取締役会の権限

 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く)の取締役会は全ての取締役によって構成される常設的機関で、その権限には[1]会社の業務執行に関する意思決定、[2]取締役の職務執行の監督および[3]代表取締役の選定および解職(会362マル数字2)があります。


(2) 業務執行の意思決定

 取締役会は会社の業務執行決定に関する広範な権限を有していますが、取締役会をもってしても決定できない事項が法定されており、たとえば次の事項については株主総会の決議事項となっており、取締役会のみの決議では決定することができません。

 [1] 定款の変更(会466)
 [2] 減資(会447マル数字1
 [3] 解散(会471iii)
 [4] 吸収合併(会783マル数字1、795マル数字1
 [5] 事業の全部または重要な一部の譲渡(会467マル数字1i、ii)
 [6]  事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益全部を共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更または解約(会467マル数字1iv)
 [7] 他の会社の事業全部の譲受け(会467マル数字1iii)
 [8] 事後設立(会467マル数字1v)
 [9] 取締役、監査役の報酬の決定(会361マル数字1、387マル数字1

 一方、取締役会での決議事項が法定されており、たとえば次の事項等が該当します(会362マル数字4)。

 [1] 重要な財産の処分および譲受け
 [2] 多額の借財
 [3] 支配人その他の重要な使用人の選任および解任
 [4] 支店その他の重要な組織の設置、変更および廃止
 [5] 社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項
 [6] 内部統制システムの整備に関する事項
 [7]  定款の定めに基づく取締役会決議による役員および会計監査人の会社に 対する責任免除
 [8] その他の重要な業務執行


(3) 職務執行の監督

 取締役会は会社の業務執行の意思決定をしますが、実際にその業務を実行するのは取締役会から委譲を受けている代表取締役です。そして、代表取締役の業務執行の監督をするのが取締役会です(会362マル数字2ii)。

 監督権の範囲は取締役の善管注意義務、忠実義務等の違反、経営判断の妥当性など広範に及びます。


2 取締役会の運営

(1) 取締役会の招集

 取締役会の構成員は取締役で、取締役会の招集ができるのも各取締役です(会366マル数字1)。ただし、定款または取締役会で招集をするべき取締役を決めることができるため(会366マル数字1)、実務上はほとんどの会社において代表取締役が取締役会を招集しています。

 取締役会を招集するには、会日から1週間(定款で短縮可)前までに各取締役および各監査役に対して、招集通知を発する必要があります(会368マル数字1


(2) 取締役会の開催

 取締役会は少なくとも3カ月に一度の開催が必要です(会363マル数字2)。そして、取締役は業務の執行状況を取締役会に報告しなければなりません(会363マル数字2)。


(3) 取締役会における決議

 取締役会の決議は取締役の過半数が出席し、その出席した取締役の過半数によって行われます。この場合、定款によってその要件を加重することができます(会369マル数字1)。

 取締役会決議について特別の利害関係のある取締役がいる場合、当該取締役は決議に参加できません(会369マル数字2)。したがって、取締役の競業取引や利益相反取引の承認を行う議題の場合には、当該取締役は決議に参加することはできません。また、代表取締役を解任する場合の当該代表取締役も議決権を行使で きません。

 なお、取締役会での議事については、議事録を作成することが必要です(会369マル数字3)。

 

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