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 5 申告書の用紙は自分で取りに行くの?

(1)通常は申告書が送られてくる

 相続税が課税されるケースでは、相続税の申告期限の2〜3か月前になると、高い確率で税務署から相続税の申告書や納付書が入った封筒が送付されてきます。これは、税務署は事前にある程度の情報を入手しているということを意味します。なぜ税務署は相続が発生したことを知っているのでしょうか。それは、市町村は税務署に対し相続があったことを報告する義務が課されているからです。

(相続税法第58条1項)
 市町村長その他戸籍に関する事務をつかさどる者は、死亡又は失踪に関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を、当該届書を受理した日の属する月の翌月末日までにその事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。

 また、税務署は、被相続人の固定資産に関する情報も入手しています。もちろん、毎年の所得税の確定申告のデータにより、生前の所得の状況や不動産等の売却履歴も把握しています。これらの情報をもとに相続税の課税対象となる可能性が高いと判断したうえで、相続人代表宛に申告書を送っているのです。


(2)申告の必要がない場合は

 申告書一式が入った封筒が送られてきても、申告義務がない場合には、相続税の申告書を提出する必要はありません。なお、封筒の中に、「相続についてのお尋ね」が入っていることがあります。財産から債務を控除して基礎控除以下になる人が、相続税の申告が必要ないことを税務署に報告するための書類です。提出義務はありませんが、税務署としては相続税が課税される可能性があると判断して書類を送付していますので、記入して提出しておく方が良いでしょう。

 

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