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10 適格退職年金制度から確定給付企業年金への移行 |
(1) 移行の形態 確定給付企業年金は、いわゆる縦割りによる給付設計はできません。縦割りとは、加入者を定年退職者のみにするとか、年金受給資格を加入20年以上の者のみに与える等の在職年数、加入年数で差別する制度のことです。したがって、適格退職年金制度から確定給付企業年金に移行する場合は、加入対象者あるいは加入資格が、確定給付企業年金に認められる範囲に入るかどうかがポイントになります。 (2) 税務上の取扱い 両者に税務上の取扱いの差異はありません。過去勤務債務の償却方法には、差異が認められます。 また、法人税法上の退職給与引当金が廃止になったため、平成15年3月31日以後最初に終了する事業年度から段階的取崩しが強制されています。 この場合、段階的取崩し中の退職給与引当金の額が、期末在職使用人の自己都合による退職給与の要支給額を超える場合、その超過額を取り崩さなければなりません。しかし、退職給与規程の改正、適格退職年金契約等の変更により事業年度終了の時において、退職金共済契約等もしくは税制適格退職年金からの給付金、厚生年金基金からの給付金、確定給付企業年金規約に基づく給付金として支給されるようになった場合は、この自己都合による退職給与の要支給額との比較による取崩し規定は適用されません。(法法附8(3)(平成14年7月3日法律79号)、法令附5(10)(平成14年8月1日政令271号)) (3) 権利義務の移転 適格退職年金契約を締結している事業主は、平成24年3月31日までの間に限って、厚生労働大臣の承認あるいは認可を受けて当該契約に係る受益者等の給付の支給に関する権利義務を確定給付企業年金に承継することができます。(法法附25(1)(平成13年6月15日法律第50号)) この場合は、確定給付企業年金の資産管理運用機関等に、当該適格退職年金契約に係る積立金を移換することになります。(同附(3)) |