目次 I-24


24 過去勤務債務の一時処理を採用している企業の代行返上の会計処理


Question
 当社は3月決算の会社です。過去勤務債務の処理は一時費用処理を採用しています。厚生年金基金制度の代行返上を行うため、上半期に将来分支給義務免除の認可を受けました。代行返上の原則処理を行うに当たり、会計処理及び財務諸表の注記の留意点を説明してください。



Answer

 代行返上の会計処理は、将来分支給義務免除の認可日において、認可前の退職給付債務と認可日後の退職給付債務との差額を過去勤務債務として認識します。貴社の場合、過去勤務債務の費用処理を一時費用処理されていますので、上半期に退職給付費用として計上することになります。

 将来分支給義務免除により、退職給付債務が縮減し、過去勤務債務(貸方残)が巨額に発生することがあります。この過去勤務債務を一時費用処理しますと、退職給付費用が貸方残となり、営業費用の前年同期比較に大きな影響を与えることがあります。中間財務諸表では、退職給付に関する注記は求められていませんが、重要性がある場合、退職給付費用の内訳を記載するのが適切です。

 また、同じ事業年度の下半期に「返還の日」が到来した場合、過去分返上認可及び返還に係る代行返上損益が計上されますが、過去勤務債務の一時費用処理を選択している企業では、上半期に計上した過去勤務債務の費用処理額も含めて代行返上損益を計上した方が、より実態を表すと考えます。

 この場合、将来分支給義務免除による過去勤務債務の費用処理額が巨額で、かつ、同じ事業年度に「返還の日」が到来することが予定される場合には、上半期において当該費用処理額を特別損益区分に計上する方法も、適切な会計処理と考えます。

 

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