目次 I-15


15 退職一時金制度から確定拠出年金制度への移行(分割移換)


Question
 当社は、退職一時金制度を採用しています。このたび、退職一時金制度から確定拠出年金制度への分割移換による移行を検討しています。この場合の留意点を説明してください。



Answer

(1) 終了処理

 確定給付型の退職給付制度から確定拠出年金制度へ移行する場合は、移行前の制度の終了の処理を行います。したがって、移換額が確定した段階で、未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額を、損益として認識します。

 資産の移換は、通常、移換を一度に実施しますが、退職一時金制度から確定拠出年金制度への移行の場合についてのみ、資産の移換の特例があります。この場合の移換は、退職金規程の改訂又は廃止が行われた日(移行日)の属する年度から、当該年度の翌年度から起算して3年度以上7年度以内の企業型年金規約で定める年度までの各年度に、均等に分割して移換することとされています。(確拠年金法令22(1)五)この移換措置の適用は、確定拠出退職年金制度のうち企業型年金のみに適用されます。

 この場合は、実際に分割して移換した各年度に終了を認識するのではなく、移換額が確定した時点ですべての終了を認識します。


(2) 分割額の利息について

 分割支払の確定額は未払金計上しますが、この場合の未払金のなかに利息を含めるかどうかという問題があります。企業会計基準適用指針1号では、利率あるいは利息相当額が明確に示されている場合は、利息を含めず純額を債務額とし、利息相当額は時間の経過に伴い、発生基準で計上するのが適切であるとしています。

 

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