目次 I-2


2 退職給付制度の終了
 

Question
 当社は、税制適格退職年金制度を採用しています。人事制度改革の一環として、退職給付制度の見直しを検討しています。現行の退職給付制度をいったん廃止して、新たな退職給付制度を導入したいと考えています。この場合、移行前の退職給付制度の「終了」の会計処理が必要と聞いていますが、この「終了」について説明してください。



Answer

(1) 退職給付制度の「終了」とは

 退職給付制度の「終了」とは、退職給付制度が廃止される場合や、退職給付制度間の移行又は制度の改訂により、退職給付債務がその減少分相当額の支払等を伴って減少する場合をいいます。(適用指針4)この場合、終了の時点で、退職給付債務の消滅を認識し、終了した部分に係る退職給付債務とその減少部分相当額の支払等との差額を損益として認識します。(適用指針10(1)前文)

・「終了」のケース((a)〜(b)は適用指針4、(e)は退職給付会計実務指針8)

 (a)  退職金規程を廃止する場合
 (b)  厚生年金基金を解散する場合
 (c)  税制適格退職年金制度を全部解除する場合
 (d)  退職給付制度間の移行又は制度の改訂により、退職給付債務がその減少分相当額の支払等を伴って減少する場合で、次のようなケース
  (イ)  確定給付年金制度の給付減額を行い、年金資産からの分配が行われる場合
(ロ)  確定給付年金制度の全部又は一部について、確定拠出年金制度へ資産を移換する場合
(ハ)  退職一時金制度の全部又は一部について、確定拠出年金制度へ資産を移換する場合
(ニ)  退職一時金制度の全部又は一部を給与として支払う方法への変更等に伴って、過去勤務債務分の全部又は一部を支払う場合
 (e) 大量退職


(2) 全部終了と一部終了

 退職給付制度の終了には、全部終了と一部終了があります。(適用指針5)全部終了とは、支払等の有無を問わずに一つの退職給付制度すべてが終了する場合をいいます。一方、一部終了とは、退職給付債務がその減少分相当額の支払等を伴って減少する場合をいいます。

 全部終了に該当するケースとしては、上記(1)の(a)、(b)、(c)のほか、確定給付型退職給付制度から確定拠出型退職給付制度又は前払退職金制度に移行する場合があります。一部終了に該当するケースとしては、上記(1)の(d)のほか、厚生年金基金の代行返上があり、この代行返上は一部終了の代表的なケースに該当します。

 

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