1-3 |
第1章 名義預金とは何か |
3 名義預金に該当するかどうかの判定はどのように行うのか |
相続開始時、親族名義の預金がいくつかあります。これらの預金が名義預金になるかどうかは事実の総合的判断とありますが、具体的な判断のポイントはなんですか。
相続財産の認定は、財産の名義にかかわらず実質的に被相続人の財産と認められるものが課税の対象とされている。名義性の預金が名義人に帰属するか、被相続人に帰属するかは、財産の名義にかかわらず、 (イ)財産の資金源は何か(出捐者は誰か) (ロ)生前贈与がなされたものか (ハ)その財産の管理及び運用を誰がしていたか (ニ)財産から生ずる利益を誰が享受していたか などを総合的に勘案して判断される。 したがって、預貯金等の名義が変わった時点で直ちに名義人に帰属するということにはならない。
1 相続財産の判定基準 相続財産の認定は、財産の名義にかかわらず実質的に被相続人の財産と認められるものが課税の対象とされている。名義性財産が被相続人に帰属するのか、名義人に帰属するのかの判定はどのように行うのであろうか。 名義性財産の判定の基準として、主に以下の点が挙げられる。 (1)財産の資金源は何か(出捐者は誰か) 当該財産の資金源を、被相続人が拠出した場合、その名義人へ贈与された事実があれば名義人に帰属するものとなるが、贈与の事実がなければ名義を借用しただけとみなされ、実質的に被相続人に帰属することとなる。 また、資金源が被相続人のものであるか、名義人のものであるかわからない場合、名義人の当時の収入状況や財産状況など諸条件を確認し、名義人にその財産を形成するだけの資力があったか否かを確認することになる。 (2)生前贈与がなされたものか 名義人が被相続人から贈与を受けていれば、当該財産は名義人に帰属するものとなるが、贈与が有効に成立していない場合には、依然として被相続人に帰属するものとなる。 そこで、税務上、被相続人から名義人に対して生前贈与が成立しているかどうかが争われる。贈与契約書が結ばれているかどうか、名義人がその財産の存在を知っていたかどうか、贈与税の申告がされているかといった点がポイントとなる。 (3)その財産の管理及び運用を誰がしていたか 当該財産が名義人のものであるというためには、名義人が自らその財産の管理及び運用をしていなければならない。 つまり、例えば預金の権利行使に必要な証書、印鑑、キャッシュカードを名義人が自ら管理しているか、資金を自由に出し入れできる状態にあるか、また、預金の作成や、定期預金の満期に伴う書替え、投資信託の商品の組替えを自己の責任に基づいて行っているかという点がポイントとなる。 (4)財産から生ずる利益を誰が享受していたか 例えば預金であれば利息、株式であれば配当、収益不動産であれば賃料といったような財産から生ずる利益を誰が享受していたかという点である。誰が利益を享受していたかによって元本の帰属先を判断することができる。 以上の流れをまとめたのが、以下のフローチャートである。 名義預金の判断フローチャート
|