目次 VI


VI.外国子会社合算税制

ポイント
 ・ 租税負担が著しく低い国にペーパーカンパニーを設立し、日本の税金を免れている法人等に適用される制度です。
 ・ この制度の対象となる外国子会社等がある場合には、その外国子会社等の税引後所得金額に相当する金額は、内国法人等の所得に合算されます。
 ・ ただし、事業実体がある等の適用除外要件を満たす場合には、この制度は適用されません。


1 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)とは

 「タックス・ヘイブン」とは「税の回避地」という意味で、所得税や法人税が全く存在しないか、税負担割合が著しく低い国または地域のことをいいます。経済の国際化の進展に伴い、このタックス・ヘイブンを利用して租税負担を不当に軽減する行為が行われるようになりました。具体的には、タックス・ヘイブンに子会社等を設立し、この子会社等に利益が計上されるようなスキームを構築、さらに、この子会社等の利益を留保するといった方法が採られます。代表的なタックス・ヘイブンとしてはケイマン、パナマ、香港等があげられます。

 このような租税回避行為に対処するために、日本においては、昭和53年に外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)が創設されました。


2 制度の概要

 この制度は、日本の居住者及び内国法人等によって、その発行済株式等の50%を超える株式等を直接及び間接に保有されている外国法人(これを「外国関係会社」といいます)で、その本店または主たる事務所の所在地におけるその法人の所得に対する税の負担が、日本において課される税の負担に比して著しく低いもの(これを「特定外国子会社等」といいます)について、その税引後所得金額に相当する金額のうち、内国法人の保有する株式等に対応する部分の金額(これを「課税対象金額」といいます)については、その内国法人の所得に合算して課税するものです(措法66の6丸数字1)。

 なお、この制度は法人だけでなく、個人も対象とされます。



3 適用除外

 この制度は、軽課税国に所在するペーパーカンパニーを利用した租税回避行為を防止するために設けられているものですので、租税回避を意図していない外国子会社等に対しては、適用対象としていません。

 つまり、当該特定外国子会社等が独立企業としての実体を備え、かつ、その本店または主たる事務所の所在地において事業活動を行うことについて十分な経済合理性があると認められる等の一定の要件に該当する場合には、この合算課税は行わないことになります。

 具体的には、(1)事業基準、(2)実体基準、(3)管理支配基準、(4)非関連者基準または所在国基準のすべての要件を満たすか否かで判定することになります。なお、これらの基準については『図解とポイント解説ですっきりわかる [最新] 国際税務ABC』(辻・本郷税理士法人 編著)VI−4を参照して下さい。

 

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