目次 Q3


Question
 有価証券の評価と貸借対照表における記載方法
 有価証券の評価と貸借対照表における記載方法について会社計算規則はどのように規定しているのでしょうか。

Answer
ポイント (1) 会社計算規則は、有価証券の評価に関しても資産一般の通則的な規定を置いているにとどまります。
(2) したがって、より具体的な内容については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準としての金融商品会計基準に準じることになります。
(3) 有価証券の貸借対照表における表示方法や注記については、財務諸表等規則に準拠することになります。


 有価証券の評価

 有価証券の評価に関する会社計算規則の規定を金融商品会計基準と比較して示しますと次のとおりです。

  会社計算規則 金融商品会計基準
評価の原則 ・取得原価(計規5丸数字1
・強制評価減(計規5丸数字3一、二)
・有価証券の保有目的によって異なる(金融商品会計基準15〜22)
区分(保有目的) 時価 取得
原価
強制
評価減
その他
売買目的有価証券
満期保有目的の債券
子会社株式および関連会社株式
その他有価証券
(市場価格あり)
その他有価証券
(市場価格なし)

(注)
(注)市場価格のない株式については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をした上で評価差額は当期の損失として処理します。
容認規定 ・低価法(計規5丸数字6一)
・時価法(計規5丸数字6二、三)
 市場価格のある資産(子会社および関連会社の株式ならびに満期保有目的の債券を除く。)
・適正価格(償却原価法)
 (計規5丸数字5
 債権の取得価額が債権金額と異なる場合に容認
 


 有価証券の表示方法

 売買目的有価証券および一年内に満期の到来する有価証券は流動資産の部に属するものとされています(計規74丸数字3一ヘ)。科目名称は、財務諸表等規則における区分表示規定に準じて、有価証券として表示されることが一般的です。

 一方、関係会社の株式(売買目的有価証券に該当する株式を除く。)や流動資産に属さない有価証券は投資その他の資産に属するものとされています(計規74丸数字3四イ)。また、関係会社の株式または出資金は、関係会社株式または関係会社出資金の項目をもって別に表示しなければなりません(計規82丸数字1)。なお、科目名称は、財務諸表等規則における区分表示規定にある科目名を参考にして、次のように表示されることが一般的です。

投資有価証券 流動資産に属さない有価証券で関係会社株式以外のもの
関係会社株式 関係会社の株式のうち、親会社株式については会社法上、原則として取得が禁止されており(会135丸数字1)、相当の時期に処分しなければならない(会135丸数字3)ため、通常は流動資産の部に計上されます。

 なお、関係会社とは、当該株式会社の親会社、子会社および関連会社ならびに当該株式会社が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等をいうとされています(計規2丸数字3二十二)。

 

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