目次 II-1〜2

 II.確定申告をすれば税金が戻る人
 1 税金が納め過ぎになっている人

 確定申告をしなくてよい人でも、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が納め過ぎになっている人は、還付を受けるための申告書を提出することができます。この申告書は、原則、その年の翌年1月1日から税務署へ提出することができますので、混雑する申告時期を避けて、なるべく早めに申告して税金の還付を受けるとよいと思います(所法120⑥、22①)。なお、郵便や信書便による申告もできます。

 特に、次のような人は、税金が納め過ぎになっていないかを確かめる必要があります。

  • (1) その年分の所得が少ない人で、配当所得や原稿料収入などがある人
    (所得が少ないため、他の納税者の控除対象配偶者又は扶養親族とされた人でも、還付申告をすることができます。)
  • (2) 所得税額の計算上引き切れない外国税額控除の額がある人
  • (3) 申告納税額の計算上引き切れない源泉徴収税額がある人
  • (4) 予定納税額の合計額が申告納税額より多い人
  • (5) 給与所得者のうち、次のような人
    • [1] 年の中途で退職した後就職しなかった人で、年末調整を受けなかった人
    • [2] 災害により住宅又は家財について甚大な損害を受けたため、災害減免法の規定により所得税額の軽減又は免除を受けることができる人(災免法2)
    • [3] 雑損控除(災害・盗難・横領)、医療費控除又は寄附金控除などの適用を受けることができる人
    • [4] 配当控除、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる人
    • [5] 退職所得の支払を受ける際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため、20.42%の税率で源泉徴収された人

 なお、年末調整を受けた給与所得者で他に申告する所得のない人が、源泉所得税及び復興特別所得税の還付を受ける場合には、「確定申告書A」を使用することになっています。

(注) なお、次の人は確定申告書Aではなく、確定申告書Bを使うことになります。
  • (イ) 雑損控除の控除不足額をその年の翌年分以後の所得金額から控除しようとする人
  • (ロ) 予定納税がある人

 また、公的年金等の受給者で、公的年金等の雑所得以外に申告すべき所得のない人が、公的年金等に係る源泉所得税及び復興特別所得税の還付を受ける場合にも、「確定申告書A」を使用することになります。

(注) なお、次の人はこの確定申告書Aではなく、確定申告書Bを使うことになります。
  • (イ) 雑損控除の控除不足額をその年の翌年分以後の所得金額から控除しようとする人
  • (ロ) 税務署から通知を受けた予定納税額がある人
 2 損失がある人

 上記1以外の場合でも、次の[1]〜[3]の理由に該当する人は、純損失や雑損失の繰越控除、純損失の繰戻しによる還付を受けようとする場合には、損失申告をすることができますが、この場合の「確定申告書B」(別表の第四表(損失申告用)又は第三表(分離課税用)も含みます。)は、期限内に提出することが要件となっていますので注意してください(所法70④、71②、123、140)。

  • [1] その年に純損失の金額が生じている人
  • [2] その年の雑損失の金額がその年分の所得の合計額を超えている人
  • [3] その年の前年以前3年間に生じた純損失や雑損失の金額の控除不足額が、その年分の所得の合計額(分離課税の譲渡所得がある場合は、特別控除額控除前の金額)を超える人

・・・・・・注 意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1 「雑損失の金額」とは、雑損控除の対象となる損失の額(保険金等で補?される金額を除きます。)について、次の算式によって計算したAとBの金額のうちいずれか多い方の金額をいいます。
A=その年の損失の額−総所得金額等の合計額×10%
B=その年の損失の額のうち災害関連支出の金額−5万円
2 翌年以後に繰り越される純損失等の金額がある人で、上場株式等に係る課税配当所得の金額、株式等に係る課税譲渡所得等の金額、特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の金額又は先物取引の差金等決済に係る損失の金額がある人は、確定申告書のBに別表第三表(分離課税用)のほか必ず別表第四表(損失申告用)を添付して提出してください。

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