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Question
 公益法人のみなし解散について
 平成元年に設立された社団法人ですが、平成20年12月1日施行の公益法人制度改革関連3法によって5年以内に所定の手続きを踏まなければ解散になると聞きました。手続き上の瑕疵で不本意な解散に至らないように、注意するべき点などについて教えてください。

Answer 解説

 1 平成20年12月1日施行の公益法人改革の概要とみなし解散

 平成20年12月1日、民法第34条に規定する公益法人制度改革関連3法(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下、整備法といいます))の施行により、公益法人の抜本的な改革が行われました。これに伴い現行の公益法人は、これらの法律の施行日から5年間の移行期間内に必要な手続きを行い、新制度に移行することが必要になります。そして、移行期間内に所定の手続きをとらなければ、解散したものとみなされます。

 これは、従前の公益法人について、(1)公益性の認定と法人格の取得が一体として取り扱われていたこと、(2)設立認可に係る要件が各主務官庁に委ねられていたため認可基準が一定ではなく裁量の余地があったこと等の反省から、これらを是正するために現行の公益法人に対して改めて認可、認定を行い、その手続きに着手しない公益法人については解散を求めたものです。


 このように移行期間内に一定の手続きに着手しなければ、不本意な解散に至ることにもなりかねませんので、制度改革の趣旨を十分に理解した上で移行に係る諸手続について遺漏のないように対応してください。その際のポイントを次にまとめましたので参考にしていただくと良いと思います。

1.  移行手続きのポイント
 移行期間は平成20年12月1日から5年間とされています。
 公益社団・財団もしくは一般社団・財団のいずれかを選択するとき、それぞれのメリット・デメリットを十分に検討する必要があります。
 移行期間満了となる平成25年11月30日までに移行が認められなかったり申請をしなかった法人は解散したものとみなされます。
2.  公益社団・財団法人への移行
 公益認定を受けるためには、公益認定基準を満たす必要があり、事業内容、財務内容、組織について見直す必要があります。
 認定されなかった場合も、移行期間内であれば申請回数に制限はありませんので、何度でも申請し直すことは可能です。
 公益認定後も、公益目的事業比率を50%以上維持することなどの公益法人認定法に規定するルールを遵守しなければなりません。
3.  一般社団・財団法人への移行
 一般社団・財団を選択した場合は、移行時点の正味財産額を基に算定した公益目的財産額を公益の目的に支出しなければなりません。(公益目的支出計画の作成が求められます。)
 公益目的財産額がゼロになれば、行政庁による監督は終了します。

 なお、この移行手続きを行わなかったことにより、平成25年12月以降みなし解散となった場合については、法人としては特段の手続きなしに解散することになると思われます。

 

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