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債権者との合意が前提となる |
裁判所の関与なしに、債権者等の利害関係者との合意によって進めることのできる通常の清算手続きは、簡易・迅速・安価な解決が期待できる反面、利害関係者間の公平を欠いたり、任意整理に応じない債権者の意向によって法的整理に移行せざるを得ないなど、かえって問題解決が複雑化かつ長期化する場合もありますので、債権者との事前の根回しなど慎重な対応が望まれます。 |
(2) |
債務超過を避けるためのテクニック |
債務超過の疑いがある場合には、特別清算に移行する必要がありますので、代表者が会社所有の資産を時価以上で買い受けたり、代表者や関連会社からの債務がある場合には、債権放棄による債務免除益を計上するなどの方法によって、債務超過にならないための工夫が必要です。ただし、税務上の繰越欠損金がある場合には、債務免除益に対する税負担の問題は起こりませんが、それがない場合は、債務免除益の計上時期を解散後にするなど、解散前後による課税方式の違いを活用する十分な配慮が必要になります。
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(3) |
タックスプランニング |
財産課税方式による清算事業年度においては、最終的に清算所得(残余財産の価額−(解散の時における資本金等の額+利益積立金額等))がプラスにならない限り税負担は生じませんので、税務上の繰越欠損金が期限切れになっているようなケースでも、納税負担が発生するようなことは考えにくいでしょう。
しかし、最終的に清算確定申告において清算所得が発生しない場合でも、清算予納申告は所得課税方式により課税されるため、資産売却などによって多額の譲渡益が発生するような場合には、一時的に納税資金が必要になりますので留意しなければなりません。最終的に清算所得が発生しなければ、清算確定申告において予納した税は還付されますが、たとえば、資産の譲渡益が問題となるケースでは、資産の引渡時期を清算確定申告年度にするなど、緻密なタックスプランニングによって余分な税負担を抑える工夫が重要になります。
タックスプランニングの主な検討項目としては次のようなものが考えられます。(詳細は『会社清算の実務75問75答』を参照。)
(1) 欠損金の繰戻還付制度の利用
(2) 免税期間や簡易課税方式を利用した消費税の節税
(3) 資産売却益や債務免除益の計上時期による節税
(4) 役員退職金の支給、計上時期による節税
(5) 粉飾決算の職権更正による嘆願手続き
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