目次 Q1


Question
 会社の解散
 解散という言葉からは、明日にも会社が雲散霧消してしまうようなイメージが先行するのですが、必ずしもそうではないようです。会社の解散について具体的に教えてください。

Answer 解説

 1 会社の解散=会社の消滅ではない

 会社が解散すると聞きますと、会社がたちまち消えてなくなるような印象を持たれるかもしれません。しかし、会社の解散とは、会社の法人格を消滅させるために必要な清算手続きに移行するための手続き、もしくは法律事実のことをいいます。つまり、会社の法人格は解散によって直ちに消滅するわけではなく、まずは清算手続きに移行し、清算の目的の範囲内で会社は存続しますから、会社の解散=会社の消滅ではないことを理解する必要があります。


 2 会社とは何か

 会社とは何かという質問に対して一言で答えるのは少し難しいのですが、ここでは会社を「営利の追求を目的として設立された社団(つまり人の集まり)」とします。

 この会社が経済社会において広く経営活動を展開し、所期の目的である営利の追求を図っていくためには、われわれ生身の人間(法律的にいうと自然人)と同様に権利義務の主体となることが法律関係の安定という観点からは必要となります。そこで、法律は会社に対して、その目的の範囲内において特別に人格を付与する工夫をしました。これが法人格であり、会社は法人格を有することによって取引の主体となり契約関係の当事者となって事業活動を円滑に進めていくことができるわけです。


 3 法人格の解消

 このように事業活動の円滑な展開を目的として工夫された法人格ですが、会社が事業活動を停止するのであれば、もはやこのような便利なツールとしての法人格を与えておく必要はありません。その場合、どのようにして法人格を解消していくのか、その手続きについて明らかにしておく必要があります。

 この法人格の解消は清算手続きという形で進めていくことになりますが、具体的には、次のような手順を踏むことになります。

順序 手順の名称 手順の内容 根拠条文
(1) 会社の財産の調査 解散時における財産の現況調査をすること 会492丸数字1
(2) 現務の結了 解散前の会社の業務の後始末をすること 会481一
(3) 財産の換価 会社財産を売却し資金化すること
(4) 債権の取立て 売掛金や貸付金といった債権を回収すること 会481二
(5) 債務の弁済 銀行などからの借入金を返済すること
(6) 残余財産の分配 残余財産があれば出資者に分配すること 会481三

 このような一連の清算手続きを経て会社は法人格を喪失し、名実ともに消滅することになります。

 したがって、会社の解散は会社の清算手続きに着手するための第1ステップとして理解しておく必要があります。つまり、会社の解散とは、会社の法人格を消滅させる原因となる法律事実なのです。

 なお、株式会社が解散から清算を経て、その法人格を喪失するまでの一連の流れを示しますと、次のようなイメージになります。

 

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