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4 株主総会招集通知と決算公告

Question

 株主総会招集通知と決算公告は、どのように変わりましたか。

Answer

 会社法では、旧商法と比べて、開示すべき情報が大幅に増加しました。株主総会の招集通知とともに株主に提供すべき情報の一部について、WEB開示制度が導入されました。決算公告が必要なのは、旧商法と同様です。



【解 説】


1 株主総会招集通知と株主総会参考書類、議決権行使書面

 株主総会を招集するには、原則として、株主総会の開催日の2週間前までに、株主に招集通知を発出する必要があります(会299(1))。この期限は、公開会社でない株式会社は1週間、非取締役会設置会社は定款に定めることにより1週間より短縮することができます。取締役会設置会社は、招集通知を書面又は電磁的方法により行わなければなりません(会299(2))。また、非取締役会設置会社であっても、株主総会に出席しない株主に書面による議決権行使を認める場合には、書面又は電磁的方法による通知が必要です。株主の議決権行使の参考に資するため、株主総会招集通知とともに株主総会参考書類(会301、302)を提供することが必要です。さらに、定時株主総会においては、株主総会招集通知、株主総会参考書類とともに、計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)、事業報告(会437、435、会計規91)、連結計算書類(会444)の提供も必要です。


2 WEB開示制度

 会社法は、旧商法と比べて、これらの書類に関する開示すべき情報が大幅に増加しました。株主総会招集通知は、書面を郵送する企業がほとんどであり、開示すべき情報の増加は、印刷費、郵送費などのコスト負担が避けられません。そこで、株主総会の招集通知に際して株主に提供すべき情報の一部を、書面等によらずインターネットのホームページで株主に提供できるとしています(会施規94、133(3)、会計規161(4)、162(4))。これを、WEB開示制度といいます。ただし、監査役又は監査委員会が異議を述べた事項は、株主への周知徹底・注意喚起のためWEB開示の対象とはならず、書面等により株主に提示しなければなりません(会施規94(1)四、133(3)二)。

 株主は、株主総会参考資料に記載されたホームページのアドレス等(会施規94(1)三)にアクセスすることにより、情報を入手できます。会社側は、株主総会に係る招集通知を発出するときから株主総会の日から3か月を経過する日まで、継続してホームページに掲載しておかなければなりません(会施規94(1))。なお、WEB開示制度を採用するには、その旨、あらかじめ、定款に定めておく必要があります(会施規94(1)ただし書)。


3 上場会社などは決算公告が不要に

 定時株主総会が終結したら、遅滞なく、貸借対照表(大会社は損益計算書を含む。)の公告をしなければなりません(会440(1))。決算公告は、会社法における間接開示と呼ばれるディスクロージャー制度の一環です。

 決算公告は、官報又は時事に関する事項を掲載する日刊新聞に掲載する場合には、貸借対照表の要旨で足ります(会440(2))。要旨とは、要約したかたちの決算書で公告に用いられる限られたスペースの中で有用な情報を伝えるために工夫されたものです。記載方法については、会社計算規則第6編に定められており、会社の区分により要求される内容が異なります。公告をしなかった場合は、100万円以下の過料が科されます(会976二)。

 なお、電子公告を選択していなくても、定時株主総会の終結の日後継続して5年を経過する日までの間インターネット上で貸借対照表等を公告すれば、本来会社が選択している公告方法に基づく決算公告は不要です(会440(3))。また、有価証券報告書等を提出している会社も、決算公告以上に詳細なディスクローズがなされているため、決算公告は不要です(会440(4))。

 

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