目次 第8章


第8章 固定資産税/事業所税/不動産取得税/印紙税/都市計画税/登録免許税

1.固定資産税 8-1

 固定資産税とは、その年度の1月1日における固定資産の所有者に対し、その固定資産の所在地の市町村(都の特別区においては都)が課税するものをいいます。ここでいう固定資産とは、土地、家屋及び償却資産をいいます。

 なお、1つの市町村の区域内において、同一の者が所有する固定資産税の課税標準となるべき金額が、土地にあっては30万円、家屋にあっては20万円、償却資産にあっては150万円に満たないときは、固定資産税は課税されません。

 固定資産税の徴収の方法は、普通徴収の方法によります。普通徴収とは、市町村が納税者に対して交付する納税通知書に、課税標準となる土地、家屋及び償却資産の価額並びにこれらの合計額を記載して通知し、納税通知書に記載された税額を徴収する方法をいいます。また、固定資産税の納期は、4月、7月、12月及び2月において条例で定める日となります。ただし、特別の事情がある場合には、これと異なる納期を定めることもできます。


(1) 課税標準

 [1]  土地または家屋の課税標準は、基準期間における1月1日の価格で土地課税台帳等または家屋課税台帳等に登録されたものです。

 [2]  償却資産の課税標準は、1月1日におけるその償却資産の価格で償却資産課税台帳に登録されたものです。


(2) 税率

 固定資産の標準税率は1.4%です。


(3) 納期

 固定資産税の納期は4月、7月、12月及び2月中において市町村長の条例で定める日とします。ただし、特別の事情がある場合には、これと異なる納期を定めることもできます。

[医療機関に関する固定資産税の規定]
 医療法第31条の公的医療機関の開設者又は特定の医療法人の法人税率の特例の承認を受けている医療法人がその設置する看護師、准看護師、歯科衛生士、歯科技工士、助産師、臨床検査師、理学療法士及び作業療法士の養成所において直接教育の用に供する固定資産に対しては、課することができない。(地税法348(2)九、地税令49の10)


2.事業所税 8-2

 事業所税とは、事業所等において法人または個人の行う事業に対し、その事業所等の指定都市等において、その事業を行う者に資産割額及び従業者割額の合計額によって課税するものをいいます。納期は、会社等法人は事業年度終了の日から2月以内に納付しなければなりません。


(1) 課税標準及び税率

 資産割は、床面積1平方メートル当たり年600円であり、従業員者割は、支払給与総額の0.25%となります。


(2) 納期

 法人が行う事業に対して課する事業所税については、各事業年度終了の日から2月以内に、個人が行う事業に対して課する事業所税については、その年の翌年3月31日までに納付しなければなりません。

[医療機関に関する事業所税の規定]
 医療法第1条の5に規定する病院及び診療所、介護保険法第7条第22項に規定する介護老人保健施設で、医療法人が開設するもの並びに看護師、準看護師、歯科衛生士等医療関係者の養成所に係る事業に係る事業所税及び新増設にかかる事業所税を課することができないとされている。(地税法701の34(3)九)


3.不動産取得税 8-3

 不動産取得税とは、不動産を取得した際に都道府県が課税する税金をいいます。この場合の不動産には、土地と家屋が該当し土地の借地権等は含まれません。

 不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した価格です。その価格は原則として固定資産課税台帳に登録されているものとなります。なお、土地の価格が10万円、家屋の価格が建築分1戸につき23万円(その他1戸については12万円)に満たない場合には、免税となります。

 不動産を取得した者は、道府県の条例により申告または報告をしなければなりません。


(1) 課税標準

 不動産取得税の課税標準は取得した不動産の価格によります。価格は原則として固定資産税台帳に登録されたものです。

 ただし、宅地評価土地の取得に際しては、その取得が平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に行われた場合には、その宅地評価土地の価格に2分の1の額となります。価格の決定は、原則として固定資産税台帳に登録されている不動産の価格によりますが、増築、改築、損壊、地目の変換等の事情があるときには固定資産評価基準となります。


(2) 税率

 不動産取得税の標準税率は4%となります。


(3) 納期

 不動産取得税の納期については、道府県の条例で定める方法によります(地税法713の16)。

[医療機関に関する不動産取得税の規定]
 医療法第31条の公的医療機関の開設者又は医療法人のうち、政令で定める医療法人(租税特別措置法第67条の2第1項の承認を受けている特定医療法人)が設置する看護師、準看護師、歯科衛生士等医療関係者の養成所において、直接教育の用に供する不動産については非課税とされている。(地税法73の4(1)三)


4.印紙税 8-4

 印紙税とは、各種契約書、領収書等の一定の文書の作成者は、その作成した文書につき、印紙税を納める義務があります。納付する税額は取引価格により決定され、原則として作成した文書に印紙を貼付し、消印することによって納付したこととなります。なお、印紙を貼付すべき文書に印紙を貼らなかった場合または貼付するべき印紙に満たない印紙を貼った場合には、その金額またはその不足額の2倍の過怠税が課されます。


(1) 課税標準

 契約書等に記載された契約金額が課税標準となり、一定の金額に達していない場合には非課税となる場合もあります。


(2) 納付

 課税文書の作成者は、その課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙を課税文書の作成時までに、その課税文書に貼り付ける方法により印紙税を納付します。

[医療機関に関する印紙税の規定]
 社会保険診療報酬支払基金法、国民年金法など他の法律により作成される文書で、印紙税法別表第3に定められているものは、非課税文書となる。
 また、医師が作成する診療報酬(自由診療を含む)は、税理士・弁護士・司法書士などの報酬に係る受取書などと同様に、会社法上及び社会通念上営利行為とはされず、営業に関しないものとして取り扱うこととされているため、収入印紙を貼る必要はない。(印税基通別表第一第17号文書25)


5.都市計画税 8-5

 都市計画税は、固定資産税と同じ納税通知書により徴収されているものです。しかし、すべての市町村において都市計画税が徴収されているわけでもありません。都市計画税は、都市計画事業または土地区画整理事業に充てるために特定の市町村が課税するものをいいます。


(1) 納税義務者

 都市計画法に基づく都市計画事業または土地区画整理事業を行う都市計画区域として指定されたもののうち、市街化区域内、または市街化調整区域のうち市町村の条例で定める区域内に所在する土地または家屋の所有者が納税義務者となります。


(2) 課税標準

 課税標準は、原則として固定資産税と同じ価格によります(地税法702の8)。


(3) 税率

 都市計画税の税率は、0.3%を超えることができないとされています。


(4) 納期

 都市計画税の納期は固定資産税の納期と同じです。


(5) 徴収

 都市計画税の徴収の方法は、普通徴収の方法によるものとし、特別の事業がある場合を除くほか、固定資産税の徴収と合わせて行うものとします(地税法702の8)。


6.登録免許税 8-6

 登録免許税は、登記、登録、免許、許可、認可、指定及び技能証明の申請に関し課税されるものをいいます。


(1) 登記事項

 登録免許税法で定める主な登記事項は次の通りです。

  (1)不動産の登記、(2)船舶登記、(3)航空機の登録、(4)工場財産等の登記、(5)動産の抵当権、譲渡等の登記、(6)著作権または出版権その他の登録、(7)登録検査機関等の登録、(8)鉱業権または砂鉱権の登録、(9)漁業権または入漁権の登録、(10)会社の商業登記、(11)人の資格の登録等、(12)事業等の登録または免許等


(2) 納税義務者

 登記等を受ける者は、登録免許税を納める義務があります。この登記等を受ける者が2人以上であるときは、これらの者は連帯納付の義務があります。


(3) 課税標準及び税率

 登録免許税は金額を課税標準とするものと申請件数を課税標準とするものに区分されます。税率は、登記等の区分ごとに、金額を課税標準とする場合には千分比で、件数をもとに1件ごとの定額で定められており、各種の申請に先立ってその税額を納付することとされています。


(4) 納付の方法

 [1]  現金納付

 登記等を受ける者は、一定の場合を除き、その登記等につき課せられる登録免許税の額に相当する金額を国に納付し、納付に関わる領収証書を登記等の申請書に貼り付けてその登記等に関わる登記官署等に提出しなければなりません。

 [2]  印紙納付

 登記等を受ける者は、その登記等につき、課せられるべき登録免許税の額が3万円以下である場合その他一定の場合には、その登録免許税の額に相当する金額の収入印紙をその登記等の申請書に貼り付けて登記官署等に提出して国に納付することができます。

 [3]  嘱託登記等の場合の納付

 官庁または公署が不動産及び商業登記等を受ける者のために、その登記等を登記官署等に嘱託する場合には、その登記等を受ける者は、その登記等につき課されるべき登録免許税の額に相当する金額を国に納付し、その納付に関わる領収証書をその官庁または公署に対し、その登録免許税の額に相当する金額の収入印紙を提出して登録免許税を国に納付することができます。

 [4]  登録免許税の還付

 登記機関は、登記等の申請をした者につきその申請が却下されたとき、または登記等の申請をした者につきその申請の取下げがあったとき等の事実があるときには、その登録免許税の額を納税地の所轄税務署長に通知します。その通知を受けた税務署長が、還付金等の還付をします。

 

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