目次 第3章


第3章 法人税

4.リース 3-4

(1) 概要

 医療法人において使用される医療機器については高額なものが多く資金に余裕がない場合、割賦購入かリースによることになるでしょう。リースを行った場合には購入による場合に比較して以下のようなメリットが得られます。

 1)  高額な医療機器を使用するにあたって、月々少額なリース料の支払いにすることによって資金に余裕をもたせることができる。

 2)  償却資産税や減価償却費の計上はリース会社において行われるため、医療法人におけるコストの把握が簡略化できる。

 3)  賃借している医療法人においては、リース料総額が借入金として貸借対照表に計上されないため、借入金による購入に比べ財務比率が悪化することがない。

 4)  リースによった場合、リース期間をその資産の耐用年数よりも短い期間とすることができる。


(2) 税務上の取扱い

 税務上、リース取引はファイナンスリース取引(資産の売買があったものとするリース取引)とオペレーティングリース取引(通常の賃貸借取引とされるリース取引)に分類されます。リースについては上記のようなメリットがありますが、ファイナンスリース取引に該当した場合には、それらのメリットが受けられなくなるため注意が必要です。

リース取引の分類のフローチャート
中途解約不可
かつ
フルペイアウト


NO
賃貸借取引
   YES    
税法上のリースに該当    
   
名目的な対価での譲渡が行われるものである

YES
売買取引
  NO  
低額譲渡が行われるものである

YES
  NO  
専用資産又はリース資産の識別が困難である

YES
  NO  
リース期間が耐用年数に比べ著しい差異がある

YES
  NO    
賃貸借取引
 
 
 


(3) 購入の場合との比較

 実務的には個々の契約内容や法人の資金状態によりますので一概には言えませんが、税負担を考慮した場合には、多額の利益があり特別償却の適用がある資産であれば、購入の方が節税が図られるといえます。

 なお、資産にもよりますが、取得価額の1.8%〜2.0%の月額リース料(60回払い)が現在のリースの一般的な相場のようです。

 

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