事例 4 |
(事例4) 注文書 |
【 解 説 】
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この文書は、いわゆる「注文書」です。注文書は、申込みの事実を証する文書ですから、契約の成立を証明するものではありません。 しかし、あらかじめ基本契約書が作成されていて、その中で「個々の取引に係る個別契約は、注文書の発行によって成立する」と記載されていれば、注文書の交付によって当事者同士の間で、個々の家具の製作という契約が成立するということを認識、了解しているものと考えられます。したがって、その注文書は当事者間の了解により、契約の成立の事実を証明しているものと認められますから、印紙税法上の契約書に該当します。 また、この注文書は「家具の製作」、つまり請負という課税事項の記載証明があるので、第2号に規定する「請負に関する契約書」に該当し、金額や目的物の記載(重要事項)などがあれば課税文書になります。 このことから、印紙税の「文書課税」というのは、単にその文書に記載されている文言だけで判断するのではなく、文書の記載事項を基本として、慣習、基本契約、了解などがあるかどうか、あるとするのならば、それら了解事項等を考慮したうえで、総合的に判断するという意味であるといえます。 ちなみに、基本契約書に記載しているような「個々の取引に係る個別契約は、注文書の発行によって成立する」ではなく、「個々の取引に際しては、注文書を発行する」「個々の個別の取引や契約については、そのつど協議する」とすれば、注文書が課税文書になることはありません。 「他の文書を引用している文書」の判断(基通4) 印紙税の課否判定を行ううえで、例えば、ある文書の課否判定をしようとする場合において、その文書が契約書に該当するものの、課税文書に該当することの要件(重要事項といいますが、これは後述します。)の記載がないので、課税文書には該当しないようなケースが時折見受けられます。 しかし、その文書を作成するもとになる文書、つまり、契約書である請書の前に作成する注文書や見積書等を作成している旨が課否判定対象文書である請書等に記載されており、その見積書等に、金額などの、本来であれば契約書にも記載するような事項が記載されているような場合には、それら見積書等の内容を引用することとされています。これを「他の文書を引用している」といいます。 この「他の文書を引用している文書の判断」というのは、つまり当該見積書等の内容を引用することで、通常の課税文書に該当する契約書を作成した場合との課税のバランスを保持するという趣旨により規定されているものです。請書等と見積書等を合体させて1つの課税文書として考えるという取扱いであるということになります。
この通達(基通第4条)について内容を検討してみると、次のように整理されます。
このことを理解するために、事例を検討してみます。 |