目次 5-I-3


I 棚卸資産の評価

3 棚卸資産の取得価額

(1)取得形態別の取扱い

 棚卸資産の取得価額は、取得形態の区分に応じそれぞれ次のように取り扱われます(令32丸数字1)。


(1) 購入した棚卸資産
次の金額の合計額が取得価額です。
●購入代価
●購入に要した費用(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税 etc.)
●消費または販売するのに直接要した費用
(2) 製造等による棚卸資産
次の金額の合計額が取得価額です。
●原材料費、労務費および経費
●消費または販売するのに直接要した費用
(3) その他(贈与、交換、低廉、高額などの取引で、(4)を除く)により取得した棚卸資産
次の金額の合計額が取得価額です。
●取得時の時価
●消費または販売するのに直接要した費用
(4) 適格分社型分割または適格現物出資により取得した棚卸資産
次の金額の合計額が取得価額です。
●取得価額
●消費または販売するのに直接要した費用


(2)付随費用の取扱い

 棚卸資産の取得価額には、購入代価や製造原価だけでなく、購入や受入れに要した費用および消費または販売するのに直接要した費用(付随費用)が含まれます。ただし、事務処理の簡便化の観点から、付随費用のうち重要性の乏しいものは取得原価に算入しないことも認められます。

 税務では重要性の判断に関し、次のように「3%基準」が適用されます。

 (1) 購入した棚卸資産の場合
 次の費用の合計額が、購入代価のおおむね3%以内であれば取得価額に算入しないことができます(基通5−1−1)。
 ●買入事務、検収、整理、選別、手入れなどの費用
 ●販売所間の移管費用
 ●特別の時期に販売するための長期保管費用

 (2) 製造等による棚卸資産の場合
 次の費用の合計額が、製造原価のおおむね3%以内であれば取得価額に算入しないことができます(基通5−1−3)。
 ●製造後の検査、検定、整理、選別、手入れなどの費用
 ●販売所間の移管費用
 ●特別の時期に販売するための長期保管費用

 なお、次のような費用は、たとえ棚卸資産の取得や保有に関連して支出するものであっても、取得価額に算入しないことができます(基通5−1−1の2)。

 ●不動産取得税
 ●固定資産税および都市計画税
 ●特別土地保有税
 ●登録免許税その他の登記・登録費用
 ●借入金の利子

 さらに、棚卸資産を保管するのに要した費用(保険料を含みます)も、取得価額に算入しないことが認められています(基通5−1−1(注)2)。また、製造等による棚卸資産について、次のような費用は製造原価に算入せず、期間費用として処理することができます(基通5−1−4)。

 ●創立記念日などに支給される特別賞与
 ●基礎研究や応用研究のための試験研究費
 ●特別償却費
 ●棚卸資産の評価損
 ●事業税
 ●事業縮小のための大量整理による退職金
 ●工場で支出した寄附金
 ●借入金の利子
 ●複写して販売するための原本となるソフトウェアの償却費の額

 

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