目次 5-I-1


第5章 資産の評価

 期末における棚卸資産や有価証券の評価問題が、所得金額の計算に大きく影響します。税務では基本的に企業会計の考え方を踏襲しますが、実務面を考慮してより詳細な取扱いが設けられています。また、税務固有の観点から企業会計とは異なる取扱いがなされる場合もあります。


I 棚卸資産の評価

1 棚卸資産の種類

 棚卸資産とは、次のような資産をいいます(法2二十、令10)。




 商品または製品(副産物および作業くずを含みます)
 半製品
 仕掛品(半成工事を含みます)
 主要原材料
 補助原材料
 消耗品で貯蔵中のもの

 不動産売買業を営む法人が販売目的で有する土地や建物は、固定資産と区別して経理していれば棚卸資産に含まれます。固定資産として使用するために取得した資産で貯蔵品として保有しているものや、もともと固定資産であった資産で貯蔵品として保有しているものは、棚卸資産ではなく固定資産として扱われます。

 消耗品、消耗工具器具備品などの貯蔵品の取得に要した金額は、それを消費した日に損金算入するのが本来の取扱いです。ところが、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品などで各事業年度ごとおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものは、継続して取得日に損金算入することが認められます(基通2−2−15)。

 なお、この取扱いが受けられるのは消耗品類に限られます。商製品や原材料などは、たとえ少額でも毎期末に棚卸しをしなければなりません。

 

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