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I 棚卸資産の評価 |
2 棚卸資産の評価方法 (1)原価法 法人税法で認められている棚卸資産の評価方法には、原価法と低価法があります(法29、令28)。「原価法」は、次の6つの評価方法のうちいずれかで取得価額を算出する方法です。
3月中の商品売買の状況は次のとおりです。
計 算 原価法の各評価方法で、期末棚卸高を計算すれば次のとおりです。
計 算 売価還元法により、期末棚卸高を計算すれば次のとおりです。
(2)低価法 「低価法」は、原価法のうちのいずれか一つの方法で評価した価額と、期末における時価のいずれか低い価額で評価する方法です(令28二)。 低価法で棚卸資産を評価する際の時価は、期末日における通常の売却可能価額から、追加製造原価と販売直接経費の見積り額を控除した「正味売却価額」によることとされています(基通5−2−11)。なお、原材料等の未加工品については購入価額のほうが把握しやすいので、「再調達原価」により計算した金額を期末時価とすることが認められています。 低価法の適用により棚卸資産の帳簿価額を切り下げた場合、翌期首においてその帳簿価額を取得価額に振り戻す処理(「洗替え低価法」)が要求されます。 この方法では時価の反騰に応じて、前期以前に費用計上された棚卸資産原価の一部または全部を当期の収益に振り戻す結果となるため、企業会計では、時価の反騰を度外視する「切放し低価法」が保守主義の観点から妥当とされています。しかし、税務上は時価回復の事実を重視し、切放し低価法を認めていません。
(3)評価方法の選択 棚卸資産の評価方法は、事業の種類ごとに、かつ、棚卸資産の種類(商品・製品・半製品 etc.)ごとに選択します(令29)。 評価方法の選択の届出は、原則として法人設立の日を含む事業年度分の確定申告書の提出期限までに行わねばなりません。ただし、設立後新たに他の種類の事業を開始した場合や事業の種類を変更したときは、その開始日または変更日を含む年度分の確定申告書の提出期限が届出期限とされます(令29)。 なお、法人が棚卸資産につき評価方法を選択しなかった場合、または選択した方法で評価しなかった場合の法定評価方法は、「最終仕入原価法」で算出した取得価額による原価法とされています(法29、令31)。 棚卸資産につき選択した評価方法を変更するときは、その変更しようとする事業年度開始の日の前日までに、「変更承認申請書」を税務署へ提出しなければなりません(令30・)。変更承認申請に対して承認または却下の通知がなされますが(令30)、現によっている評価方法を採用してから相当期間(おおむね3年)を経過していないときは、合併など特別な理由がある場合を除いて申請は却下されます(令30、基通5−2−13)。
なお、変更承認申請書の提出があった場合に、その新たな方法を採用する事業年度終了の日までに承認または却下の処分がなければ、その日に承認があったものとみなされます(令30)。 |