目次 Q3


Q3 「陳述」(税理士法第2条の2)とは何ですか。証人尋問はできるのでしょうか。

 「陳述」とは、主張・立証のことと解し得ます。証人尋問もできます。

 「陳述」 「陳述」とは、訴訟法上、主張と立証のことと解し得ます。
 主張には、法律上の主張と事実上(要件事実)の主張があります。処分取消訴訟において、補佐人たる税理士は、税法上処分が違法であるという法律上・事実上の主張を行っていくことになります。
 立証とは、主張の裏付けとして証拠による証明を行うことです。具体的には、書証や証人尋問などを行っていくことになります。

 主張 主張は、通常、準備書面により行います。準備書面とは、期日において陳述を予定する事項を記載して当事者が裁判所に提出する書面のことです。口頭弁論においては、この準備書面の提出が要求されています(民訴法第161条)。
 しかし、主張は必ずしも準備書面に記載する方法によってのみなされるわけではありません。特に最近は、“ラウンド・テーブル法廷”と呼ばれる円卓の法廷で、当事者が膝をつきあわせて口頭で主張を戦わせる方法も多く採られるようになってきています。

 立証 立証方法としては、書証のほか、証人尋問・当事者尋問などが重要です。
 ところが、補佐人たる税理士の権限である「陳述」には証人尋問は含まれないとする見解があります。一般的に税理士が訴訟手続に関する専門知識を十分に備えているとは言いがたいこと、弁理士法においては「補佐人として、当事者又は訴訟代理人とともに出頭し、陳述又は尋問をすることができる」と規定されていること(弁理士法第5条第1項)などがその理由のようです。国会審議の過程において、政府参考人もこの見解を採っています。
 しかし、実際問題として、証人尋問の際に専門的知識をもって主尋問・反対尋問ができるというのは当事者にとって大変なメリットです。
 また、陳述とは立証を含むものと解し得、立証には当然証人尋問が含まれるのですから、補佐人たる税理士は証人尋問まで行う権限があると解すべきです。
 この問題は結局、税理士法第2条の2の「陳述」をどう解釈するかという法解釈の問題ですので、終局的には判例により決着されるべきものです。しかし、それ以前の段階において、裁判所による適切な運用が図られることを期待します。

 

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