目次 Q1


Q1 わが国における納税者救済手続の概要について教えて下さい。

 わが国における納税者救済手続には、行政救済手続である不服申立手続と、司法救済手続である訴訟とがあります。

 行政救済手続と司法救済手続 国税の更正決定等に不服がある納税者が、その処分の取消等を求めようとする場合の手続には、行政救済手続である不服申立手続と司法救済手続である訴訟(税務訴訟)とがあります。
 ところが、税務訴訟においては不服申立前置主義(通則法第115条)が採用されているため、いきなり司法裁判所に訴訟を提起することはできず、原則として異議申立手続・審査請求手続という2段階の不服申立手続を経なければならないことになっています(例外的に異議申立手続を省略できる場合もあります。通則法第75条参照)。

 不服申立手続 不服申立手続の第1段階は、処分行政庁に対する異議申立手続です。例えば、税務署長がした更正処分については、当該税務署長に異議を申し立てることになります。
 この異議申立は、原則として処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して2ヶ月以内にしなければなりません(通則法第77条第1項)。申立は必要事項を記載した異議申立書を税務署長等に提出することにより行います(通則法第81条)。
 異議申立に対する決定になお不服がある場合には、不服申立手続の第2段階として、国税不服審判所長に審査請求をすることになります。
 この審査請求は、原則として、異議決定を経たものについては異議決定書の謄本が送達された日の翌日から起算して1ヶ月以内に、また、直接審査請求をすることができる場合は原処分に係る通知を受けた日の翌日から起算して2ヶ月以内にしなければなりません(通則法第77条第1項、第2項)。なお、異議申立をした日の翌日から3ヶ月を経過してもなお異議決定がない場合は、異議決定を待たずに審査請求をすることができます(通則法第75条第5項)。審査請求は必要事項を記載した正副2通の審査請求書を提出することにより行います(通則法第87条)。

 訴訟 審査請求に対する裁決になお不服がある場合、納税者は原処分の取消等を求めて地方裁判所に訴訟を提起することができます。
 取消訴訟の提起は、裁決があったことを知った日から3ヶ月以内にしなければなりません(行訴法第14条第1項)。この3ヶ月以内という期間は初日を算入し、「裁決があったことを知った日」から起算されます(最高裁・昭和52年2月17日判決)。
 なお、審査請求をした日の翌日から起算して3ヶ月を経過してもなお裁決がない場合は、裁決を待たずに訴訟を提起することができます(通則法第115条第1項第一号)。

 

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