目次 序章


序章 否認リスクに向き合う数々の税務処理

 様々な節税手法が紹介され目を惹きます。納税は義務ではありますが許される範囲で適正に履行すれば十分であり、節税はある意味では合理化でもありますから、経営者にとって節税を指向するのは当然と言えましょう。

 ただ、節税だけに目を奪われると思わぬ落とし穴が待っていることがあります。

 ある節税では単年度でみればそれなりの効果が期待できるものの、連年続けた場合には無駄な法人資金の拠出となり、資金繰りに悪影響を与える結果となることもあります。さらには意図的な操作が疑われると徴税サイドに重大な関心を持たれ、結果として税務調査を自ら呼び寄せる誘因になる恐れもあります。否認対象ともされるとその影響は大きく、会社の信用に傷がつくなど、将来に対する負の遺産を残すことにも繋がりかねません。

 否認リスクが懸念されるケースについて過去の否認対象事例を参考に取り上げ、一面効果的な節税策であってもそこに潜む他面の税務処理の問題点を指摘しつつ、その悪影響と適正な処理について、Q&Aでわかりやすく解説しています。


《Information》

 各Q&Aの冒頭に、事案の相談者が節税等を目的に行った税務処理について、例えば、費用計上(前払家賃)とか、利益圧縮(保険加入)という形式で、それぞれのQ&Aを区別表示しています。すなわち、そのAnswerで示された問題点の指摘や適正処理に対する解説は当該区別表示した個々の事案の処理に対する解説等になります。したがって、費用処理あるいは利益調整等といった処理をしたい場合に、税務上の取扱いについて知りたいというときには、この区別表示によりまずは類似ケースを検索されお読み下さい。

 なお、本コーナーの解説等は平成27年1月1日現在の税法等に基づいています。

 

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