目次 Q2


Question
 減価償却制度の概要
 減価償却制度が、平成19年度の税制改正によって大幅に見直されましたが、その概要について教えてください。

Answer


 減価償却とは、時の経過やその使用に伴って発生する固定資産の価値の減少分(減価償却費)を毎期一定のルールに基づき算出し、その算出額を固定資産の帳簿価額から減少させる会計技術ですが、その目的は、時の経過とともに価値の減少する固定資産の取得費用を有効期間内に適正に配分し、収益との対応を正確に計算することにあります。

 そして、減価償却費の計算要素としては、従来、次の三つがありました。




 平成19年度の税制改正では、(2)の残存価額がゼロ(備忘価額は1円)となったことから、前述のとおり定率法の償却率の算定方法が変更されました。

 ところで、税務上の取扱いにおいて減価償却が明確にされたのは、大正7年のことですが、平成19年度の税制改正は、昭和39年以来の大きな改正であるといわれています。

 昭和39年度の税制改正要綱では、「開放経済への移行に備えて、企業の内部留保の充実と設備の更新に資するため、機械設備を中心に、固定資産の耐用年数を平均15%程度短縮する。なお、有形固定資産について、取得価額の5%(現行:10%)に達するまで償却を認めることとする等、減価償却制度について改善を図る」としています。

 そして、これらのことから「償却可能限度額」が取得価額の5%とされました(昭和39年度の税制改正前:10%)。ただし、このときは、定率法の償却率及び定額法の償却限度(範囲)額を計算する場合の「残存価額」は、従来どおりの10%のままとされました。これは、残存価額を5%にすると、償却限度額が約30%増加することから、そのままとされたのです。

 平成19年度の税制改正においては、「残存価額」をゼロとしたことから、定率法の償却率の算定方法の変更が行われたのです。

 

目次 次ページ