目次 Q18


Q18 第2会社設立による子会社支援

Question
 当社の子会社A社が業績不振に陥り、このままでは好転の兆しもありませんので、打開策として第2会社を設立し、当該第2会社にA社の営業を譲渡させた上で子会社を解散させる方法を検討しています。

 第2子会社の資本金、株主構成はA社と同じとし、商号も子会社の解散後に引き継ぐ予定でいます。

 法人税基本通達9−4−1によれば、子会社を整理する場合の損失負担等は相当の理由があれば寄附金にならないことになっていますが、わが社の事例も同様に扱われることになりますでしょうか。


Answer


 (1)第2会社を利用する方法

 業績不振の子会社の整理に際し、第2会社を利用する方法はよく行われています。業績不振の子会社を解散、清算を行うことにより、不良資産を処理し、親会社の損失負担の下に事業を再出発させる方法です。

 親会社としては子会社が整理されますから、第2会社に引き継がれない債権は回収不能となり、貸倒損失が発生します。この貸倒損失は、子会社を整理したからといって、無条件で損金算入が認められるとは限りません。

 ご質問の場合は、第2会社の資本金、株主構成等がA社と変わらず、商号もA社清算後に第2会社に引き継ぐとのことですので、A社から第2会社に法的実態が変わっていますが、実質的実態は何ら変わっておらず、親会社の主導の下に事業が承継されています。

 法人税基本通達9−4−1によれば、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが社会通念上明らかであると認められる場合に、当該損失負担等を寄附金に該当しないものを扱うこととしています。


 (2)国税当局の見解

 国税当局の見解では、次のような事例が寄附金として扱われないとしています。

1) 経営不振の子会社を解散させるにあたって、子会社に退職金を支払う資金がないため、親会社が子会社の従業員を再雇用せざるを得ないこととなるので、親会社が過剰人員を抱えることを避けるために、やむを得ず子会社に対して退職金の支給資金を援助した場合

2) 経営不振で債権の見込みのない子会社の経営権を、親会社が他の企業に譲渡する場合の条件として、親会社が持っている子会社に対する債権を放棄した場合

 ご質問の場合、貴社がA社を整理しない限り、今後より一層の損失が見込まれること、A社が債務超過等の経営危機に陥っていること、再建計画等から第2会社の設立に合理的な理由が存在すること等の事実が認められない限り、当該貸倒損失は損金として認められず、A社に対する経済的な利益に供与として、寄附金となりますのでご留意ください。

 

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