目次 Q12


 V 貸倒引当金(3)――一括評価金銭債権に係る引当て


Q12 一括評価金銭債権の範囲

Question
 法人税法第52条第2項の規定では、一般評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を計算すべき金銭債権は、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」と規定されていますが、以下のケースの場合、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」に該当するのでしょうか。

 (1)先日付で受け取った小切手
 (2)従業員に前払いで支払った旅費の立替金
 (3)未収計上されている損害賠償金


Answer


 法人税法第52条第2項の規定により一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を計算すべき金銭債権(以下「一括評価金銭債権」といいます)については、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」とされています。

 この場合の法人税法第52条第2項における貸倒引当金に規定する「その他これらに準ずる金銭債権」には、次のような債権が含まれます。

1) 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等または貸付金の未収利子で、益金の額に算入されたもの

2) 他人のために立替払をした場合の立替金(法人税基本通達11−2−18の(4)に該当するものを除く)

3) 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの

4) 保証債務を履行した場合の求償権

5) 法人税法第31条の18第1項(連結法人税の個別帰属額の計算)に規定する「法人税の負担額」または「法人税の減少額」として収入すべき金額に係る未収金(当該法人との間に連結完全支配関係がある連結法人に対して有するものを除く)

  (注)  法人がその有する売掛金、貸付金等の債権について取得した先日付小切手を同項に規定する金銭債権に含めている場合には、その計算を認める。


 (1)先日付小切手

 先日付小切手は、現実の商慣行上、手形と同様の性質を有していることから、売掛金や貸付金等について取得した手形と同様の取扱いをすることが実態に則していると考えられます。

 したがって、(注)に記載されているように、先日付小切手を一般評価金銭債権に含めて計算をしている場合に限り、この先日付小切手を「売掛金、貸付金その他のこれらに準ずる金銭債権」として取り扱われます。


 (2)立替金

 旅費等の立替金は前払いの性格を有するものであり、あくまでも会計上立替金勘定で処理されているだけであり、「売掛金、貸付金その他のこれらに準ずる金銭債権」には該当しません。


 (3)未収の損害賠償金

 損害賠償金の収益計上は、その支払いが行われるまで、益金に算入しないことができるとされています。未収の損害賠償金について、支払いが行われた時点で益金に算入する場合ではなく、支払いが確定した時点で収益計上された場合については、「売掛金、貸付金その他のこれらに準ずる金銭債権」には該当すると取り扱われます。

 

目次 次ページ