目次 Q13


Q13 売掛債権等に該当しない債権

Question
 貸倒引当金の算定を行う上で、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」に該当しないものには、どのようなものがあるのでしょうか。


Answer


 法人税基本通達11−2−18では、次のようなものは「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」に該当しないと例示しています。

1) 預貯金およびその未収利子、公社債の未収利子、未収配当その他これらに類する債権

2) 保証金、敷金(借地権、借家権等の取得等に関連して無利息または低利率で提供した建設協力金等を含む)、預け金その他これらに類する債権

3) 手付金、前渡金等のように資産の取得の代価または費用の支出に充てるものとして支出した金額

4) 前払給料、概算払旅費、前渡交際費等のように将来精算される費用の前払として一時的に仮払金、立替金として経理されている金額

 預貯金等は、寄託債権としていつでも返還請求権が認められます。したがって、預貯金は回収を予定する債権ではなく、返還を予定する債権であると考えられます。このような理由から、預貯金等は「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」に含まれないとされています。

 保証金、敷金については、担保的性格を有しており、預け金の性格が強く、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」には該当しないとされています。

 なお、金融商品会計基準において、将来返還される建設協力金等の差入預託保証金は、返済期日までのキャッシュ・フローを割り引いた現在価値が時価として認識され、その金額が貸付金として処理されますが、預託保証金であることには変わらず、税務上は、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」には該当しないとされています。

 資産を購入するための手付金や前渡金は、将来資産等を購入する際に充当されるものであるため、前払いにすぎません。したがって、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」には該当しません。

 さらに、前払給料、概算払旅費については、経費の前払いであり、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」に該当しません。ただし、他人のために立替払いしたような場合の立替金等については、一種の金銭消費貸借債権と考えることができますので、立替金や仮払金として経理処理していても、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」として取り扱われます。

 

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