目次 Q10


Q10 手形は不渡りになったが交換所の取引停止処分を受けていない場合

Question
 当社(3月決算)の得意先A社から受け取った手形が1回目の不渡りになりましたが、期末(3月31日)においては手形交換所の取引停止処分はまだ受けていません。この手形に対して個別評価の貸倒引当金を計上することができますでしょうか。

 なお、A社は2回目の不渡手形を出し、4月10日付で手形交換所の取引停止処分を受けています。


Answer


 原則として単に不渡手形が発生したのみでは法人税法施行令第96条第1項第3号(形式基準)による個別評価の貸倒引当金は計上できません。事業年度末までに債務者が発行した手形が不渡りとなり、かつ手形交換所の取引停止処分(手形交換所規則に基づき手形が不渡りとなった場合にその支払義務者につき不渡手形の交換日から6か月以内に2度目の不渡りが生じた場合に取引停止処分となります)を受けている場合に、法人税法施行令第96条第1項第3号に規定する事由に該当することとなります。

 しかしながら、特例として、不渡手形が発生した事業年度の確定申告提出期限(確定申告書提出期限の延長の特例により提出期限が延長されている場合にはその延長された期限)までに手形交換所の取引停止処分を受けている場合には、個別評価の貸倒引当金(法人税法施行令第96条第1項第3号)の繰入れが可能となります(法人税基本通達11−2−11)。

 ご質問の場合、A社の手形交換所の取引停止処分が3月末日までに生じていませんが、確定申告書提出期限(5月31日)までに生じていますので、法人税法施行令第96条第1項第3に規定する貸倒引当金が計上可能となります。

 

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