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Q8 担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額 |
個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の算定上、法人税法施行令第96条第1項第1号の金銭債権の長期棚上げによる場合や、同項第3号のいわゆる形式基準に該当する場合、対象となる金銭債権の額から担保権の実行による取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を控除するものとされています。 この場合、貸倒引当金勘定への繰入限度額に規定する担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額とは、質権、抵当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額をいうとされています(法人税基本通達11−2−5)。 法令上もこのあたり特に疑義はなく、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金に移行して平成10年に廃止された旧債権償却特別勘定に関する通達(旧法人税基本通達9−6−5(2))ロ、9−6−6)の中に同旨のものが定められており、この通達はこれを踏襲したものと考えられます。 また、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入事由がいわゆる形式基準に該当することによる場合、上記のほか、金融機関または保証機関による保証債務の履行により取立て等の見込みがあると認められている部分の金額についても、同様に対象となる金銭債権の額から控除することとされています(法人税法施行令第96条第1項第3号かっこ書)。 いわゆる形式基準に該当する貸倒引当金の繰入事由は、債務者に係る外形的事実の発生をその繰入事由とするものであるところから、いわゆる人的保証までも対象債権から控除することは要求しないというのが原則になっているのですが、人的保証といっても、金融機関または保証機関の保証については、質権、抵当権等と同様の担保力が認められることから、これについては「取立て等の見込みがある部分の金額」として取り扱うことになっているものです。 このことから、形式基準に該当することを繰入事由とする場合には、金融機関または保証機関の保証以外の人的保証については、これによる取立て見込み額を控除する必要はなく、旧債権償却特別勘定における形式基準の取扱い(旧法人税基本通達9−6−5(2)ハ)と同様に取り扱われるものと考えられます。 具体的な担保権の実行により取立て等の見込額の計算については、下記の点につき留意する必要があります。
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