目次 Q2


 II 貸倒損失の態様


Q2 他の共同企業体構成員会社の倒産

Question
 当社は共同企業体の構成員ですが、当期中に相手方構成員が経営の行詰りから失踪してしまい、その下請先への支払いを当社が肩代わりしました。相手方構成員は実質的に倒産状態にあり、当社としても、工事を完成させる必要があったこと、およびその下請先に支払いをしなければ指名停止処分を受けることが予想されたためです。

 この場合、当社の肩代わりは、税務上、寄附金として扱われないでしょうか。


Answer


 (1)寄附金

 法人税法上、寄附金の額とは、金銭その他の資産または経済的な利益の贈与または無償の供与をいい、親子会社間や関係会社間の取引であると否とにかかわらず、相手方から無償で債務を引き受けた場合にも、税務上、寄附金として取り扱われます。

 しかし、法人が子会社等の倒産、解散等にともない、当該子会社等のために債務の引受けその他の損失を負担したり、当該子会社等に対する債権の放棄をした場合においても、その負担等をしなければ今後より大きな損失を被ることが社会通念上明らかであり、やむをえず負担する等の相当の理由があると認められるときは、その損失の額は寄附金の額に該当しないものとされています(法人税基本通達9−4−1)。

 なお、ここでいう「子会社」とは、親子会社間に限定されるものではなく、取引関係、資金関係、その他特殊関係以外において密接な関係がある場合も含まれるものとされています。


 (2)その他の損金

 ご質問の場合、共同企業体の相手方構成員に対して回収の見込みがないにもかかわらず、その債務を代位弁済したのは、顧客との請負契約の当事者が御社でもあることから、期日までに請負工事を完了し引き渡す必要があったこと、およびその下請先に支払いをしなければ、いずれ監督官庁より立替払いの勧告を受け、それに従わない場合には指名停止処分を受けることが予想されること、さらに相手方構成員が実質的に支払不能の倒産状態にあったこと等からすれば、税務上の寄附金には該当せず、その他の損金として取り扱われるものと考えます。

 

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