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収入計上漏れの確認 |
収入計上漏れのチェックはどのように行えばよいのですか。 |
収入計上漏れは、税務調査で最も重要視されているチェック項目の1つです。意図的な収入の除外と認定された場合には、重加算税というペナルティの大きい税金を支払うことになります。 |
[1]自賠責収入の入金先 自賠責収入の入金先は請求ごとに個別に指定できるため、誤って個人口座の番号を書いてしまったことにより収入計上漏れを指摘されることがあります。これは、税務署にある資料せんや、損害保険会社等への反面調査及びカルテ閲覧等を通じて、税務調査で明らかにされます。 自賠責収入については、このようなことを防ぐために自賠責収入管理帳等を作成し、個別に管理しておくことをお勧めします。 また、これが意図的で大規模な収入除外と認定された場合には、重加算税の対象となり、非常にペナルティの大きい税金を支払わなければならないため、注意を要します。 [2]自由診療収入 自由診療収入は、病医院と患者間の金銭直接授受という特性から、過少計上や脱漏が生じやすい項目です。 税務調査時には、診療科や規模により一定の傾向が見られることが標準的な自由診療収入割合のデータからわかるので、それら標準データとの乖離の程度も1つの目安とされています。 また、従業員が抜き取り等の不正をしやすい収入の1つでもあるので、不正を起こさないためにも内部統制が重要です。 [3]窓口収入の一部抜き取り等 社会保険診療の患者が負担する自己負担金は、外来診療のつど窓口で徴収するものと、例えば入院費のように、月末もしくは退院時等の締め日を設けて請求し、口座振込もしくは窓口にて現金で精算するものとに大別されますが、いずれにせよ現金収受の形態をとるのが大半であるため、一部抜き取りの誘因が生じやすくなります。 また、現金扱いのため、窓口収入金から臨時的に経費や立替金を仮払いしたまま放置してしまうケースも、内部統制の不備な病医院ではありがちです。しかしながら、患者自己負担金と保険者(社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険組合等)が支払う給付金との割合は明確に定められているので、給付金(社保・国保の診療報酬)から逆算して患者自己負担金の理論上の数値を推計することは容易にできます。 このようなことを未然に防ぐにはやはり内部統制が必須であり、例えば、現金の現物の管理者と、伝票作成者・経理担当者を同一人物にしないなど、現金と書類の管理者を別々にして不正をする過程をつくらないなどの対策をお勧めします。 [4]患者自己負担金免除の取扱い 病医院の関係者を診療した際の患者自己負担金を免除した場合には、入金がないために窓口収入計上から患者自己負担金部分の計上が漏れてしまうことがあります。 しかしながら、前述したとおり、保険者の給付金のデータから理論上の患者自己負担金を推計することは容易ですので、免除した患者自己負担金が累積で多額になれば、特に問題となってきます。 また、免除したわけではなくても、患者から窓口負担金を徴収できずにそのまま貸倒れになってしまうケースなどでは、窓口収入計上を通さないため貸倒れの金額を把握することさえ困難になってしまう場合もあります。 そこで、患者自己負担金を免除した場合の取扱いとしては、収益と費用を両建てする次のような処理方法等が考えられます。
通常は、処理の少ない(a)の方法がとられていることが多いのですが、昨今は保健所等から、窓口負担金部分は必ずいったん受け取る旨の指導が入りますので、(b)の方法を選択することで、税法上・医療法上の問題も回避することができます。 また、費用計上する際は、次の場合別に費用が異なります。
上記のうち(4)の貸倒損失については、税務調査における否認事項としてよく論点にあがるところです。回収の努力を行い、かつ、その努力を記録として残したうえで、やむを得ないことを立証できると、初めて損失計上できます。 |