目次 Q3-3


 Q3−3 青色申告

現在青色申告で申告書を提出している医療法人ですが、白色申告の方が記帳も簡便であるとアドバイスを受け青色申告を取り消すか否か悩んでいます。白色申告の方がよいのでしょうか。また、個人医院の場合どうでしょうか。

Answer 単刀直入に申しますと青色申告の方がよいと思います。その理由としては、青色申告を選択すると税務上いろいろな特典が受けられるからです。

 税務上の特典は、以下のようなものがあります。個人医院については、(1)〜(6)の他(7)もあります。

(1)欠損金の繰越制度(注1)
(2)所得拡大促進税制の税額控除
(3)雇用促進税制の税額控除
(4)少額減価償却資産
(5)医療機器の特別償却
(6)医療機器の税額控除
(7)青色専従者給与(個人医院のみ)他(注2)

(注1)  欠損金の繰越制度
 欠損金の繰越制度とは欠損金が生じたとき、その欠損金額を一定の条件のもとに、以後の事業年度で生ずる所得から控除できる制度です。平成23年度の税制改正により、平成20年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金額から、従来の7年間から2年延長され、9年間繰越控除ができるようになりました。一方で、中小法人等以外の法人については、欠損金等の控除限度額が制限されました。すなわち、これらの法人については、控除限度額について、繰越控除をする事業年度の控除前所得金額の100分の80相当額とされています。
(注2)  青色専従者給与
 生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがあります。これらの給与は原則として必要経費にはなりませんが、青色申告者の場合、一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例が認められています。
  (1)  青色申告者の場合
 以下の要件を満たすことが必要です。
    [1]  青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。
・青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
      その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
    [2]  「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
    [3]  届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
    [4]  青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。なお、過大とされる部分は必要経費とはなりません。
  (2)  青色申告者ではない場合
 白色申告の場合には一定の要件の下に事業専従者控除の特例となり、以下のように金額に上限が設けられます。事業専従者控除額は、次の[1]又は[2]の金額のどちらか低い金額となります。
    [1]  事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
    [2]  この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額
  (注)  青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人又は白色申告者の事業専従者である人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

 

目次 次ページ