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3)逓増定期保険の利用目的

 逓増定期保険のパンフレットなどを見ると,この保険の特徴の一つとして企業の成長にともなって必要な保障額が増加するため,そのニーズに応えることとあるようだが,ここで取り上げている逓増定期保険の場合でいえば,実際に企業が現時点から11年後に急に成長をはじめるという予測は誰にも立てられない。

 もしそのようなことなら,その時期のための保険料を今払うより,事業に有効に活用し利益を上げるか,設備投資をして将来的な供給能力の増大を図るほうが企業としては普通であろう。

 もう一つの特徴として挙げられているのが,解約返戻金を役員の退職金財源に充てることである。つまり,ある時期をターゲットとして期間中の含み益を作ること,またその時期の解約によって資金を活用することである。内容から考えると,この特徴を中心に考えたほうが合理的である。

 そのような意味でも逓増定期保険は,契約後の解約返戻金や含み益の推移を把握し,適切な状況判断を自ら行うことがきわめて重要であろう。活用する予定の解約返戻金が,契約を放置していると減少しはじめ最終的には0となるため,企業にとって契約管理が必須の保険契約ということができる。

 次章は,逓増定期保険の,その他のタイプについてみていくこととする。



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