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 1.これからの企業組織を考える
1.企業組織を考える  2.企業組織を考える2  3.フラット型組織の導入  4.戦略的組織の形成方法
5.生産性の向上を図る  6.生産性の向上を図る2  7.活力ある組織作り  8.問題児の傾向と対策

企業組織の定義と見直しの必要性

 複数人数で構成される企業において、企業全体の目標を達成するためには、個々の役割分担を決め、権限と調整のルールを定め、労働意欲を引き出していくには、組織をどのように編成していくかが大きな課題となります。

企業組織とは …経営目的を達成するために、構成員が十分に意思疎通を図りながら、貢献意欲をもって協働する体系のことである。
企業組織構築のあり方 …職務の明確化を図り、それに伴う権限や責任を割り当てて、相互間の諸関係を調整・規定し、意思疎通を図りながら個々と全体の調整をとっていくことである。

 上記のことから企業組織は経営目標を達成するための手段であることを認識し、当然効率的運営が可能なように編成していく必要があります。変化する経営環境と組織編成との間にギャップが生じ適応力や順応力を失わないように常に組織の変革を試みていくことが重要です。組織の見直しは、価値ある仕事を効率的に行って利益をいかに生み出すかという点と組織の活性化を通じて優秀な人材をどのようにして育成するかという点を目的として行われていきます。

 大企業では、組織の多段階化によって経営環境の変化に迅速に適応できないという問題に直面しており、組織活性化のための見直しが緊急課題になっています。一方、中小企業では大企業と比較して、総じて組織的な業務体制が遅れているため、往々にして経営トップの独断で仕事が行われています。変化の激しい今日のような時代においてトップダウンによる意思決定は有効ですが、組織立った効率的な業務を推進していくことも必要になっています。

 企業の組織形態には、様々なタイプが存在します。企業がどのような組織形態を導入するかについては、各企業が自社の実態を分析し、明確な経営目的のもとでの将来的な経営戦略や人材戦略を踏まえて決定していくことになりますが、経営環境や企業の規模、事業内容等の変化に応じて、企業組織の形態も変革していくことは必要不可欠なものになります。


企業組織の基本形態

(組織の基本5原則)
(1)分業化・専門家の原則 分業することによって仕事を単純化し、同時に専門性を深めていく組織構造をとること。
(2)統制の範囲の原則 1人の管理者が管理できる部下の数のことを指し、管理者の情報能力の制約から適正な統制範囲を確保すること。
(3)責任と権限の一致の原則 職務を遂行する際、権限に見合う責任を明確にし、それを一致させること。
(4)命令統一性の原則 命令系統が統一されていないと構成員の行動に混乱をきたすことから、管理者からの指示に不整合を生じない組織構造をとること。
(5)階層短縮化の原則 組織階層が重なると情報伝達が不正確になりがちで時間もかかることから、可能な限り階層を少なくするような組織構造にすること。

 以上のように組織の基本原則に則して組織設計を行っていくのですが、すべてを同時に満たす組織は理論的に存在しません。例えば、(1)の分業化を進めると結果的に組織階層が厚くなり、(5)の原則と矛盾してしまう…といった具合です。したがって、バランスよく5つの原則を最大公約数的に充足していく必要が生じてきます。

 主な組織形態としては下記のものがあります。

ライン組織
   トップから下位へ指揮命令系統の一貫性を重視し、組織の秩序を最重要にした組織形態です。命令統一性の原則が徹底されており、権限責任関係が非常に明確であり、「軍隊組織」とも言われます。1つの目標に向かって組織全体の力を集結する状況には適合しますが、規模がある程度になると上位者に権限が集中して負担が大きくなったりして組織の硬直を招く状況に陥りやすいという欠点もあり、統制の範囲の原則・階層短縮化の原則をみたさなくなります。
ライン∩スタッフ組織
   トップから最下層まで1本の指揮命令系統で結ばれているライン組織を軸に、ここに様々な情報や専門知識を提供して職務の遂行を助けるスタッフ部門を加えた組織のことです。軍隊の参謀方式に似たこの形態は、指揮命令系統を乱すことなく専門的能力を活用できるメリットがありますので、専門化の原則と命令統一性の原則を同時に満たすことができます。しかし、事業規模が拡大したり内部業務が複雑化すると、各専門部署間の調整が困難になり、結局はトップの負担が過重になります。
事業部制組織
   組織の編成単位を製品や地域、顧客といった観点から分割した組織編成です。各事業部に対して、事業を統括・運営する権限と責任を委譲したところに大きな特色があります。一方では、本社と呼ばれる最高経営層が事業部の経営活動に関する評価や全体的な観点からの資源配分を効果的に行います。スタッフ部門の二重投資や全社的戦略の欠如といったデメリットはありますが、階層化の回避やトップの負担軽減、各事業部による製品・市場への迅速な対応は可能になります。