会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第104号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『経営計画を実現、達成する具体的仕組みとしての【経営会議】の必要性…経営会議入門【2】』
 経営・財務・・・ 『1人あたりで経営数値を分析すると理解し易い』
 経理・税務・・・ 『決算直前 ギリギリ間に合う 7つの決算対策』





 今月の特集

経営計画を実現、達成する具体的仕組みとしての【経営会議】の必要性
…経営会議入門【2】

平成の時代になって企業の経営のルールが大きく変わりました。市場原理の導入、担保融資から決算内容融資、終身雇用・年功序列から能力主義、成果主義等々です。この時代の変化に対応して、経営会議システムを導入してはいかがでしょうか。経営会議システムとは、経営計画と月次決算の連動、管理会計と財務会計との連動、過去会計と未来会計の連動による予算・実績差異、予想実績損益計算書、予想・実績資金繰り表等により、経営の先行管理を可能とする経営管理の方法です。

【月次決算】【経営計画】というと何か面倒な、難しい仕組みを導入することだと思う方も多いのですが、いたって簡単です。

要は、企業の業績予想をきちんと月次予算化し、毎月計画通りにいっているかどうかをチェックし、このまま計画通りに推移すれば、売上、利益はいくらか、税金はいくら位予定すればいいか、資金は大丈夫かを見通しながら会社を経営していこうというものです。

中小企業はいつも危険と隣合わせ、倒産、破綻、夜逃げをする夢を見ない経営者はいません。そんな不安を払拭し、常に数値を見ながら経営するという当たり前のことに過ぎないのですが、なぜか実行する企業が少ないのが実状です。それでも経営計画は立てている企業は少しあります。

年度末の決算は税金の申告、融資等のためにどの会社も行います。しかし、考えて見てください。期末になって、1年間の実績を振り返っても遅いのです。経営計画・月次予算を立てる一方、月次決算を行っていれば、予算・実績差異分析を行うことが出来、実績と予算の背理があれば、原因追及からその原因を取り除くアクションを行うことができます。

不況がこようがびくともしない盤石な経営基盤の企業とは、すべての部門、店舗等ですべての人が計画通りに目標を達成し、その結果企業としても経営計画を達成・実現できる企業なのです。


月次決算と月次予算とを結合した【経営会議】は企業経営管理のインフラです。

【経営会議】とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、定義はいたって簡単。月次予算を作成した会社が、毎月、月ごとに正しい決算を行い、計画が達成されたか否かを予算・実績比較し、経過月実績+未経過月予算に基づき、毎月予想決算、予想・実績資金繰り表等を確認しながら経営を管理していく仕組みです。


経営会議の仕組み

【1】パソコン会計を導入する。すでにパソコン会計で経理処理をしている。

パソコン会計で経理処理しているメリットはいろいろありますが、今回は代表的なものを4つあげておきます。

1. 経理業務が合理化できます。パソコン会計導入以前は多くの会社が、原資証憑(通帳、請求書・領収証・給与台帳等)から振替伝票を起票し、会計事務所等に渡し、2〜4週間後に毎月の試算表、決算書等を入手していました。自社でパソコン会計を使って経理処理すると、(1)振替伝票は不要になります。直接パソコンの入力画面へ原資証憑から振替伝票を起票・入力することができ、伝票作成作業が無くなります。(2)パソコン会計は仕訳入力すれば、元帳作成・試算表作成はすべて自動で計算できますので、各勘定の幣合性を確かめる検証が大変簡単です。現預金、売掛金、買掛金等の月末残高を試算表で簡単に確認でき、原資証憑との一致を確認すればそれで大丈夫です。面倒だった電卓計算から解放され、会計事務所とのやりとりも少なくなります。

2. 経理業務が定型化できます。これまで熟練作業であった経理業務が2極分解できます。いったんシステムが出来上がれば、パソコン入力、試算表作成、検証業務はパート・アルバイト・派遣等で行うことができます。熟練者には一段とレベルの高い、経営計画、予算作成、資金繰り、財務、業務管理等の判断業務をしてもらいます。また、パソコン会計の導入は、操作する人間の成長もあり、業務拡大、他店舗展開等でも人数を増員させずに対応でき、間接人件費を抑制する効果があります。

3. パソコン会計の計算機能である、補助科目設定、部門別設定等を利用すれば、他の業務ソフトを使用せず、パソコン会計の中で、販売管理、仕入管理、原価計算、店舗・支店損益管理が簡単に出来ます。他の業務ソフトですと検証が必要ですが、パソコン会計の中で一環して行えば検証不要です。ムダな検証作業、人員が不必要になります。

4. 迅速に会社の経営実態をつかめます。これまで早くて翌月末、遅ければ2ヶ月もかかっていた月次決算書が毎日でも作成可能となり、迅速な経営判断が可能となります。


【2】 経営計画を作成する・・・最初は大まかなものでも良い。要は会社の1年後をイメージ化すること。会報CLUE平成19年2月号参照

損益計画と資金計画を月次予算レベルまで作成します。前月号で詳しく紹介しましたが、最初からあまり力を入れないことです。極論すれば、前期の損益推移通りでもいいと思います。経営計画については、多くの人が多くのことを書いています。しかし、重要なことは経営計画を立てることではありません。会社が計画と実績の数値を見て今後の会社の進路をみんなで判断していくことが目的なのです。


※経営計画から経営会議へ
※経営計画をお飾りにしないために

せっかく苦労して経営計画・月次予算も会社のお飾りになってしまうことの背景には様々な理由があります。

1.時間的制約
経営計画・月次予算が時間的制約のためいつもギリギリで作成され、企業で一番重要な計画達成の方法が全く議論されず単なる絵に描いた餅、机上の空論で終わってしまっていることです。予算達成の具体的手順を欠いた経営計画だからです。

2.単なる数字の当てはめ
年度目標や各部門の計画が年計画数値の1/12にしたものに過ぎないもの。
経営陣の一番大事な経営計画の作成が、単なる数字の当てはめに終わっていいのでしょうか。

3.予算に対する社員の認識の低さ
経営者の上意下達式の経営計画は社員に何の意味も与えません。景気動向、同業他社動向、得意先、消費者、商品構成や具体的手順を無視した、前期比120%アップ売上目標と言われてもしらけるばかりです。


※経営計画を全社的なものにするためには以下のことに留意する必要があります。

 (1) 可能な限り経営計画を全社員に公開することです。経営計画を公開し、全社員の創意で計画達成を目指すことです。

 (2) 経営計画の作成にあたって社員の意見を採り入れることです。経営陣だけではなく社員も計画に参加させることで、より経営計画が身近になります。

 (3) 予算・実績差異、実績数字を追い、予算達成度に応じて、成果主義賃金制度を採用することによって、予算達成度が高くなります。

以上 本当に経営計画が遂行できるかは、如何に【月次経営会議】を上手にこなしていくかにかかっています。


【3】 月次決算を励行します。月単位で決算をします。正確な会社の経営成績をつかみます。

1. なぜ月次決算が必要か

高度成長時代のように、年々市場が牧歌的に倍々ゲームのように確実に伸張していた時代には、たいした経営努力なしに売上高も利益も確実に伸びたかもしれません。そんな時代だったので、成り行きで決算を組んでも期待する経営結果を得られたのかもしれません。
しかし、政府自身が年成長率2%を目標数値にしている時代に成り行きで会社を経営していれば前期比80〜90%の売上・利益の達成さえ厳しい時代に私たちは生きています。勝ち組、負け組、格差社会、市場原理等の言葉が飛び交っています。こんな時代に経営の前提として、経営努力の結果をいち早く確認し、経営活動の点検を一刻も早くしなければなりません。各種統計でも毎月の月次決算が翌月10日までに出来上がる会社の倒産例が一番少なく、年1回決算の会社の倒産率が一番高い結果となっています。それはそうでしょう。毎月儲かっているかどうかも解らず経営していれば会社がもつはずありません。

2. 経営悪化にいち早く月次経営会議で打開策の検討を

販売の頭打ち、収益力の低下、赤字決算の見通しを放置していては、現代の企業経営者は全員自己破産に追い込まれます。経営の推移について、月次決算で確認し、その結果を踏まえた何らかのアクションを間髪入れずに実行しなければ、経営計画・月次予算は達成できません。あたり前の話ですが、何も努力しなければ、売上高減少、収益低下、その結果資金逼迫となります。ですから、売上・利益・資金と3つの数値を月次に的確に把握して、経営者は迅速な対応をしなければなりません。そのためにも予算・実績対比も月次決算レベルで行う必要があります。ソフトバンクの孫社長等は日次決算をされているそうです。

※厳しい経営環境下では、月ごとの細かい予算・実績対比、差異分析チェックが必要
※月次定例会議で差異や、計画未達成の場合、原因追及に対応した迅速な行動を
※経過月実績+未経過月予算の合わせ技で常に予想売上・予想利益を睨みながら経営を

3. 経営計画は地図、月次決算はGPS
 
達成可能な経営計画【地図】と正確な月次決算で現在値を知り、目的地に向けて舵取る仕組みが黒字経営を100%可能とします。



【4】毎月定例日に経営会議を開催します。

毎月10日、第三金曜日、25日等 決まった日に会社の経営陣の意思決定会議を実施します。


経営会議には定型的資料として、最低でも以下の資料を用意します。

(1)予算・実績差異分析表
(2)異常値がある科目の総勘定元帳
(3)経過月実績+未経過月予算=予想決算書
(4)経過月実績+未経過月予算の予想・実績資金繰り表。


1.予算・実績差異分析表【図1参照】

年度始めに計画した月次予算と月次実績とを比較し、異常値を検討します。

異常値の原因として、

 (1)予算が過大、あるいは過小
 (2)実績の誤り、仕訳間違い、月ズレ等
 (3)予期せぬ費用等の発生、その妥当性と費用対効果の検討

【図1】
予算・実績差異分析表

2.異常値総勘定元帳【図2参照】

経営者の考えた月次予算と実際の費用等の異常値について、その内容の検討資料として、異常値科目の元帳を添付します。経営者のほとんどは元帳を見ません。異常値総勘定元帳により内容、取引の確認をしていただきます。内部牽制、不正防止についても効果があります。

【図2】
異常値総勘定元帳


3.経過月実績+未経過月予算=予想決算書【図3参照】

この表によって、このまま推移すれば、当初の経営目標に到達するかどうかが、毎月一目瞭然です。

売上・原価率・売上総利益・人件費率・経費・営業利益・経常利益・税引き後利益等が明確な数字で見えます。黒字であれば決算対策を、赤字であれば黒字化するための経営判断を経営会議で検討することが一番大事な経営者の仕事です。

【図3】
予想決算書


4.経過月実績+未経過月予算の予想・実績資金繰り表【図4参照

予想・実績資金繰り表で会社のお金の出入りを管理する。

税引き前利益が赤字の場合、減価償却費を差し引いた赤字金額だけが資金が手元から消えていきます。手元資金が足りなければ必然的に借入に頼ることになります。借入すれば金利負担が増え、更に収益を圧迫し、赤字が加算されていくという泥沼に入り込みます。

会社の存続条件を順序づければ、

 (1)まず、毎月の月次決算の損益計算を黒字にする。

 (2)次に、毎月の資金繰りの営業収支を黒字にする。
   ※ 営業収支とは、売上等の回収金額で、仕入、人件費、経費、支払利息等の諸経費を賄えるかどうかを見ます。毎月利益が出たとしても、売掛金・在庫が増加すれば営業収支がプラスになりません。

 (3) 最後に、営業収支がプラスの範囲で毎月の借入金の返済が賄えるか否か。毎月の借入金の返済を賄えなければ、銀行に折り返し融資の依頼をしなければなりませんが、その可能性はあるか?毎月の返済可能金額で現在の借入金元金を返済するのが何年かかるか?少なくとも10年以内を確保しましょう。


借入金元金÷返済可能年額【税引き後利益+減価償却費】=10年以内が望ましい。

財務支出の欄を見てください。差引営業収支が年間計で15,919,725円、財務収支が△4,839,472円となり、営業収支の範囲で財務支出が賄えます。結果、銀行の借入を約定通り返済し、税金を支払っても、無借金でお金が廻り、期末に17,926,619円残る資金計画となっています。


※財務収支とは

借入金の返済・定期積金・設備投資等の支出は、営業収支・損益とは関係なくお金が出ていきます。借入金の返済は、借り入れたお金を返済するだけで、いくら返済しても損益に関係がありません。定期積金も、いくら毎月積立しても損益とは全く関係ありません。これらは手元のすぐ使えるお金ではなくなることだけです。


月次定例経営会議で資金チェックをする。

以上の関係から解るように、月次のお金が廻るためには営業収支の範囲で財務収支が賄われているかどうかが許容範囲だと分かります。月次の営業収支を超えた財務支出を発生させてしまうと、その額だけ資金が足りなくなります。月次の営業収支、損益の構造と月次の資金の管理は不可分の関係にあることを理解してください。月次決算、月次実績資金繰り表をしっかり把握し貴社の資金の流れを理解することが財務の第一歩と言えます。

厳しい経営環境の今日、これらの資金実態を把握しないで企業は生き延びることができません。

月次決算による正しい月次決算書から月次実績資金繰り表を手にしてください。

【図4】
予想・実績資金繰り表





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1人あたりで経営数値を分析すると理解し易い

「1人あたりの売上高」「1人あたりの売上総利益」「1人あたりの営業利益」
規模が関係なく他社との比較ができ、自社の問題点発見が簡単



●自社の問題点発見が簡単

直近の決算書を用意してください。決算から半年以上経過している場合は、直近の月次決算・試算表でも結構です。

【売上高】【売上総利益】【営業利益】【経常利益】を従業員数で割ると1人あたりの経営数値が得られます。それぞれの数値を【1人あたり売上高】【1人あたり売上総利益】【1人あたり営業利益】【1人あたり経常利益】といいます。


●1人あたりの分析をする場合。社員数に関して、バイト・中途社員の取り扱いが困難な場合。

 (1) 時間換算(社員平均労働時間) [例] 月180時間の場合。アルバイト・中途社員の時間を180時間×12月=2,160時間で1人と換算する。

 (2) 賃金換算(社員平均年俸) [例] 300万円の場合。アルバイト・中途社員の年俸を300万円で割り1人あたりに換算する。

以下事例を見ながら、1人あたりの経営数値の見方を検討する。


(事例1)A社の場合 【会社創立以来の利益を計上した会社】

単位 千円
  A社全体 1人あたり  
売 上 高 813,198 16,264 100.0%
売上原価 233,320 4,666 28.7%
売上総利益 579,878 11,598 71.3%
人 件 費 258,489 5,170 31.8%
地代家賃 65,326 1,307 8.0%
減価償却費 17,231 345 2.1%
その他経費 157,443 3,149 19.4%
営業利益 81,389 1,628 10.0%
営業外収益 4,166 83 0.5%
営業外費用 38,863 777 4.8%
経常利益 46,692 934 5.7%
従業員数   50  

《A社》
1人あたりの経営数値
 1人あたり  売上高    16,264千円
   売上総利益 11,598千円
   人件費 5,170千円
   営業利益 1,628千円
   経常利益 934千円

A社の1人あたりの経営数値は、目標より数段良いという事が分かります。


(1) 1人あたり売上総利益

11,598千円 【目標 10,000万円以上】

(2) 1人あたりの人件費

5,170千円 【目標 500万円以下】

※1人500万円の人件費は、中小企業では高水準
※給与分布としては、高額給与800万円から若年低額給与300万円まで幅あり

(3) 地代家賃

売上の8% 【目標10%以内】

(4) 1人あたり経常利益

1分間4円を大きく上回っている。

※生産性が高い、付加価値が高い、どちらかの理由によって高利益体質の会社となっている。

(5) 1分あたりの経常利益

934千円÷2,160時間÷60=7.2円 【目標1分4円以上】


(事例2)B社の場合【大幅な赤字決算、倒産の危機・再建案の立案中】

単位 千円
  B社全体 1人あたり  
売 上 高 532,863 11,101 100.0%
売上原価 250,647 5,222 47.0%
売上総利益 282,216 5,880 53.0%
人 件 費 241,220 5,025 45.3%
地代家賃 12,518 261 2.3%
減価償却費 11,975 249 2.2%
その他経費 74,809 1,559 14.0%
営業利益 −58,306 −1,215 −10.9%
営業外収益 15,284 318 2.9%
営業外費用 25,457 530 4.8%
経常利益 −68,479 −1,427 −12.9%
従業員数   48  

《B社》
1人あたりの経営数値
 1人あたり  売上高    11,101千円
   売上総利益 5,880千円
   人件費 5,025千円
   営業利益 △1,251千円
   経常利益 △1,427千円

B社の1人あたりの経営数値は、目標より非常に悪いことがすぐ分かります。


(1) 1人あたり売上総利益
 
目標の10,000万円に対して、約半分の5,880千円しかありません。これでは1人あたりの人件費が2,900千円しか出せません。法定福利費や通勤手当を考慮すれば、社員の年俸が2,320千円。ボーナスがなしだとしても、月給を平均19万円しか支払う能力がありません。これでは付加価値を発揮する社員が雇えなくなり、技術・能力の低下、付加価値の減少、経営悪化、人件費の圧縮、更には能力の低下と悪循環となります。1人あたり売上総利益標準10,000万円。最低800万円の確保が経営陣に課せられた数値ではないでしょうか?

(2) 1人あたりの人件費

指標の500万円に対して5,025千円。利益もないのに人件費が高いことが分かります。これは経営陣の社員の活用方法が悪いことに原因があります。決して社員の能力がなく、働いていないのではありません。

(理由)
●採用は社員の権限ではなく経営陣の権限
●社員を有効活用できないのも、そのような会社のシステムに原因がある。
●社員を活性化させ、生産性を引き出すのも経営陣の努め
●ろくな社員しかいないと言っている経営陣は、自分に人の見る目がなく、人を使いこなせないと公言しているだけである。

※付加価値が低く、人件費が高いB社の場合 経営陣の無能力さが浮かび出てくる

(3) 1人あたり経常利益

1分間4円を大きく下廻り、1分間マイナス13.2円、赤字の垂れ流しとなっている。

※生産性が低く、付加価値が低い どちらかの理由によって最低の経営状態を引き起こしている末期的体質の会社となっている。

(4) 1分あたりの経常赤字

1,427千円÷1,800時間÷60=13.2円


B社の再建案
1人あたりの経営数値改善による再建案

  同業他社比率 1人あたり
売 上 高 103.0% 11,434
売上原価 40.0% 4,574
売上総利益 63.0% 7,204
人 件 費 42.0% 4,802
地代家賃 2.3% 269
減価償却費 2.2% 257
その他経費 14.0% 1,605
営業利益 6.9% 784
営業外収益 1.0% 114
営業外費用 3.0% 343
経常利益 4.9% 556
従業員数    

※ 最低売上  3%の上昇
※ 原価低減  7%の圧縮
※ 人件費 3.5%の圧縮
※ この改善により 経常利益が5%近い優良企業に生まれ変われる。
※ B社の利点

  (ア) 人件費以外の固定経費が低く、人件費/売上総利益が66%台となり、個々の社員の給与減額幅が低額で済む。

  (イ) 利益よりも売上額にこだわった会社運営をしないこと。売上額にこだわった経営をしていれば採算度外視の受注となり、やればやるほど赤字となり企業経営となる。

以下のような経営者の会社に多い体質。
(1)社長が営業畑出身
(2)経営数値に明るくない
(3)見栄張り、同業者の会での役員や名誉職が好き
(4)借金も財産と思っている

収益にこだわった経営をし、売上減少、社員規模縮小を恥ずかしいと思わず、企業は利益を出すことが一番大事だと思える会社づくりをする。


1人あたりの経営数値に置き換えると今まで見えなかった、あるいは見えづらかった会社の実態が良く見えるようになります。その結果社員1人1人に還元した会社の再建案が立案可能となります。





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決算直前 ギリギリ間に合う 7つの決算対策

3月決算が近づいてきました。決算日直前でも可能な決算対策の代表的なものを紹介します。具体的適用については専門家の税理士とよくご相談ください。

(1)決算賞与 (2)貸倒損失 (3)消耗品の購入 (4)30万円未満の減価償却資産の購入 (5)生命保険の加入 (6)1年分の家賃等の前払い (7)在庫処分


1.決算賞与・・・経費になる、ならないの分かれ目

予想以上に利益が出たら社員に決算賞与という形で還元することが会社の志気を高め来期の成長を加速させます。


●社員に対する決算賞与を当期の経費にするための条件

 (1)決算日までに支給額を社員全員に通知すること
 (2)決算日から1ヶ月以内に支払うこと
 (3)損金経理 賞与/未払金 の仕訳を決算書に計上すること


《税務調査対策》

 (1)各人ごとの賞与支給明細書の会社控えに社員の確認印を押印してもらう

 (2)賞与の支給明細書、銀行振込書類も保存する。
   (注意) 通知した全員に1ヶ月以内に支給すること。
1人でも支払わなかったら、当期計上した決算賞与全額が否認されます。


2.回収できない売掛債権を貸倒損失に・・・経費になる、ならないの分かれ目

長年経営していると、売掛金、貸付金、仮払金等で回収できないものが相当残っているケースがあります。行方不明、倒産等の売掛金で残しているものがないか確認してください。


貸倒損失の要件は厳格

 (1)会社更生法等の法律によって債権切り捨てが確定したもの

 (2) 債務超過の状態が長く続き、売掛債権等の弁済が受けることができないと認められた場合、その債務者に対して書面で金額を明記した債務免除通知を出せば損金に算入できます。

 (3) 売掛債権で債務者との取引を停止したときから1年以上を経過し、債権が取り立て費用に満たない場合、備忘価額1円を残し、損金に参入できます。

 (4)回収不能とされた債権を内容証明で債権放棄する。


3.消耗品の購入・・・経費になる、ならないの分かれ目

●期末購入消耗品の当期経費にするための条件

 (1)毎年、おおむね一定の消耗品を購入していること。
 (2)経常的に消費していること。
 (3)毎期この処理を継続していること。


《税務調査対策》

 (1) おおむねの明確な基準はありませんが、コピー用紙、トナー等2ヶ月分程度の購入は認められています。

 (2) 継続適用が条件ですので、今期利益が出ないからといってこの処理をしないのはダメです。一度この処理 消耗品費/現預金 と仕訳したら毎回同じ処理をするように。


4.30万円未満の減価償却資産の購入・・・経費になる、ならないの分かれ目

中小企業で青色申告法人が平成20年3月までに30万円未満の減価償却資産を購入した場合は合計300万円まで全額損金に算入できます。

 (1) この適用を受けるためには確定申告書にこの計算に関する明細書添付が要件となっています。別表16―6の付表を必ず添付してください。

 (2) 決算日までに使用を開始していなければなりませんので、購入代金を支払ったり、請求書の日付が決算日前であっても、実際納品されていなければこの規定を受けられず、当期の経費になりませんので注意してください。


5.生命保険の活用・・・経費になる、ならないの分かれ目

(社員の福利厚生費の一環として、生命保険契約を結んだ場合)

会社が契約者、社員を被保険者、受取人を死亡の場合は、社員の遺族、満期の場合は、会社とする養老保険に加入した場合、保険料の1/2を会社の経費処理にできます。年払保険料であれば、保険料の半分を経費化できます。養老保険【積立保険】ですので本来全額資産計上すべきですが、例外的に一定の要件を満たす場合は1/2を経費化することができます。一定の要件とは全員加入ですが、一定の基準の全員加入であれば認められます。社内規定で一定の範囲を明確にし、回覧しておけば大丈夫です。

 (1)全員加入が適用要件

  (ア)保険加入者を勤続3年以上の役員及び使用人とした場合・・・適用可能

  (イ)保険加入者を係長以上にした場合・・・適用不可

 ※ 係長以上等の条件は特定の者を優遇しているとされ、保険料は給与か役員賞与とされ、所得税、法人税が課せられます。

 (2)保険金額が被保険者の年間給与に比較して異常に高額・・・経済合理性がない

 (3)社員に周知徹底していない・・・単なる節税対策

生命保険の加入は、社員の福利厚生の充実が目的であり、税金逃れの小手先の手段としないことです。結果として、節税、赤字対策、資金確保、含み益経営になるという観点で取り組むべきです。


6.短期前払費用・・・経費になる、ならないの分かれ目

税法では一定の要件を満たせば、短期前払費用というものが認められています。

 (1)決算日までに支払われていること。

 (2)支払ってから1年以内に提供を受ける役務に係るものであること。

 (3)損金経理、地代家賃/現預金という仕訳が切られていること。

  今期新しく店舗、駐車場等を借りることになった場合、1年契約、前払契約を結び、決算期までに現金の支払いを済ませておけば、1年分を全額一括で経費にすることができます。これは、1年未満の短期借入金の支払利息、1年契約の自動車保険、火災保険、車・コピー機のレンタル料等にも適用できますので、当該担当者と相談することをおすすめします。

※契約書で以上の条件が明確にされていなければいけません。


7.在庫処分・・・経費になる、ならないの分かれ目

不良在庫は、保管料がかかりおまけに税金もかかってきます。不必要なもの、仕入代金より販売価格が下廻るものは処分しましょう。商品評価損、除却損として経費化しましょう。

(除却の場合)
 (1)処分している様子をビデオや写真に撮っておく。
 (2)スクラップ費用の領収書を保管しておく。

(評価損の場合)
 (1)棚卸表に仕入価格と処分価格を記入し、差額を評価損価格とする。
 (2)商品に処分価格の値段札を付け写真を撮っておく。

以上 決算直前の決算対策を列挙しましたが、いずれも条件が厳しいので、実際の処理は専門家である顧問税理士と相談して実行してください。


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