II-2-1 |
二 研究開発税制・情報基盤強化税制等 |
1 試験研究費に係る税額控除制度の見直し・強化 |
激化する国際競争に勝ち抜く産業競争力を実現するために、民間企業の研究開発のより一層の促進が不可欠であるといえます。そのために、研究開発促進税制の恒久的措置に加え、研究開発投資の増加額について税額控除の優遇措置を講じることにより、研究開発投資へのインセンティブが強化されます。
(1) 現行の試験研究費の総額に係る税額控除制度 試験研究費の総額に係る税額控除制度は、試験研究費の総額に対し次の控除割合(以下「試験研究費の総額に係る税額控除割合」といいます。)を乗じた税額控除を行うことができるというものです(ただし、当期の法人税額の20%を限度とします。)。 試験研究費の総額に係る税額控除割合は、当期の試験研究費の総額の当期以前4年間の平均売上金額に対する割合(以下「試験研究費割合」といいます。)に応じて、次のとおりです。
(2) 現行の増加試験研究費に係る税額控除制度 増加試験研究費に係る税額控除制度は、適用年度の試験研究費の額が比較試験研究費の額を超える場合には、比較試験研究費の額を超える額の15%相当額を法人税額から控除することができるというものです。 この場合の比較試験研究費の額とは、適用年度の開始の日前5年以内に開始した事業年度(比較事業年度)の試験研究費の額のうち多い方から3期分の平均額をいいます。 (3) 総額制度と増加額制度の統合 今回の改正では、従来、選択制となっていた上記(1)と(2)の制度について、(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度を恒久的措置として、(2)増加試験研究費に係る税額控除制度を2年間の時限的措置(平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度について適用)として、試験研究費の総額に係る税額控除制度に統合する形で行われます。 平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分(増加額)について、さらに5%の税額控除が追加されます。この場合の比較試験研究費とは、過去3事業年度の試験研究費の平均額をいいます。また、当年度の試験研究費の額が、直近の2事業年度のうち最も多い事業年度の試験研究費よりも多いことが条件となります。この結果、恒久的措置である試験研究費の総額に係る税額控除制度が8%〜10%の税額控除となりますので、試験研究費増加額(下図のBの部分)については5%が追加され、合計13%〜15%の税額控除となります。
<税額控除額の計算>
[2] 中小企業技術基盤強化税制の拡充 中小企業の試験研究費の税額控除制度についても、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分(増加額)について、5%の税額控除が追加されます。 この結果、中小企業の試験研究費の税額控除制度については、恒久的措置の部分が一律12%であることから、試験研究費増加額に対して合計17%の税額控除となります。(ただし、法人税額の20%が限度です。)
[3] 特別共同試験研究費等の範囲の拡充 産学官連携の共同研究・委託研究に係る税額控除制度について、試験研究費の額のうち国の試験研究機関又は大学と共同して行う試験研究、国の試験研究機関又は大学に委託する試験研究の適用対象となる特別共同試験研究費等の範囲に、「希少疾病用医薬品」及び「希少疾病用医療機器」に関する試験研究費が加えられます。 (注) 「研究開発税制における増加試験研究費の特別税額控除」と「研究開発税制における試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の特別税額控除」は廃止されます。 |