目次 I-3


3 住宅ローン控除適用者に対する調整措置

 平成19年分以降の所得税で住宅ローン控除の適用がある場合、所得税と個人住民税の比率が変わりますので、いままで控除できていた金額が控除できないという問題が生じてきます。このような場合には、翌年度の個人住民税を減額する方法で、住宅ローン控除制度を適用している者が不利にならないようにするための調整措置が導入されます。

 つまり、個人住民税が従来の5%の税率から10%の税率に引き上げられても、全体として増税にならないようにするための措置として、原則として所得税を減額することにより個人の税負担があまり生じないようにします。しかし、住宅ローン控除制度を適用している者の中には、所得税が0(ゼロ)の場合やほとんど支払う必要のない者がいるため、所得税の減額だけで調整ができない場合が出てきます。このような場合には次の一定の調整計算を行ったうえで個人住民税からその増税分に見合う額を控除できる措置がとられます。

 すなわち、平成19年分以降の所得税において住宅借入金等特別税額控除の適用がある者(平成11年から平成18年までに入居した者に限る。)のうち、次の算式で計算した場合において控除残額が生じているものについては、翌年度分の個人住民税から、当該控除残額に相当する額が減額できます。

《住宅ローン控除残額の計算式》
次表の(1)と(2)の
いずれか小さい
金額
当該年分の所得税額(住宅
借入金等特別税額控除の適
用がないものとした場合の
所得税額です。)
控除残額
     
翌年度分個人住民税から減額できる
(1)  当該年分の住宅借入金等特別税額控除額
(2)  当該年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額に税源移譲のための改正前の税率を適用した場合の所得税額(住宅借入金等特別税額控除の適用がないものとした場合の所得税額です。)

 【参考】  この措置は、対象者からの「減額申請書」による申請に基づき、市町村長が税務署長に照会して減額すべき金額を確認する方法によって翌年度分の個人住民税から減額を実施します。この措置によって生ずる平成20年度以降の個人住民税の減収額は、全額国費で補てんされます。
 なお、「減額申請書」の提出は、所得税の確定申告を行う者は税務署へ確定申告書とともに提出し、所得税の確定申告を行わない者は市町村へ提出することになります。

(参考)具体例
○税源移譲前と税源移譲後のイメージ(年収500万円の場合)
○税源移譲前と税源移譲後のイメージ(年収500万円の場合)

 

目次 次ページ