第2部 第1章 Q12 |
第2部 個別税目編 |
第1章 所得税 |
Q12 医療費控除による還付 |
今年は3年ぶりに歯科にかかり、保険のきかない自由診療でセラミックを充填する治療を受けました。なお、その支払いはクレジットカードで行いました。また、子どもが入院を伴う治療を受け、生命保険会社からは入院に係る生命保険契約の給付金の支払いを受けました。 このような場合に、医療費控除による還付を受けることができるのでしょうか。 |
医療費のうち一定のものは、医療費控除として所得から控除することができます。医療費控除の対象となる医療費には、生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払ったものも含まれます。医療費控除を受けるためには確定申告をする必要があります。確定申告書には医療費の領収書の添付などが必要ですので、大切に保管しておきましょう。 さて、ご質問のケースではいくつかのポイントが含まれていますので、そのポイント毎に解説します。
1 対象となる医療費 医療費控除の対象となる医療費は次に掲げるもので、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています(所法73、所令207)。
2 控除額の計算 医療費控除の対象となる金額は、次の算式で計算した金額です(所法73)。
3 手続き 医療費控除を受けるためには、確定申告をする必要があり、その確定申告書には医療費の支払いを証明する領収書等を添付するか提示しなければなりません。 なお、確定申告を電子申告で行う場合には、領収書等の添付または提示を省略することができますが(平成20年国税庁告示第37号)。この場合には、税務署長の開示要求にいつでも応じられるよう確定申告期限から3年間は領収書等の保管が必要になります(平成19年国税庁告示第8号)。 4 計算例 ご質問のケースに具体的な金額をあてはめて計算してみましょう。 (1)事例 平成23年中に支払った医療費などは次のとおりであったとします。なお神田一郎氏の総所得金額は200万円以上です。
(2)計算 (33万円−12万円※)−10万円=11万円 → 医療費控除額
(3)還付額 神田一郎氏の所得に対する税率が20%だとすると、還付額は22,000円(11万円×20%)となります。 |