目次 II-11


11 どこまでが交際費の範囲となるか(4)

入札の際に他業者に支払った外注費名目の費用
 ある公共工事を4,000万円で落札したN社は、その工事の入札参加業者であったO社に対し、工事の一部を外注したという名目で200万円を支払い、外注費として処理しています。

調査官の指摘
 O社を反面調査したところ、200万円は収益には計上されていましたが、外注工事を行った事実は認められず、O社に対する支出は、談合金に類するものと認めらました。したがって、外注費200万円を交際費として否認します。

会社の言い分
 ご指摘のとおり、O社は確かに外注工事は行っていません。しかし、工事遂行上、色々アドバイスを受けたり、過去にもさまざまな形でお世話になっており、その対価として200万円を支払ったものです。



税務判断のポイント

 本事例における外注費200万円は、会社の言い分のような、漠然とした役務の提供の対価とは認められず、調査官の指摘どおり談合金を外注費に仮装したものであるとされました。

 談合金は、公共事業の入札に関連して、参加業者が談合の上、落札業者を決め、その落札業者が他の業者に対して支払う金銭をいいます。談合自体が違法であるので、談合金の支出もまたあってはならないものです。しかし、現実には、一部の業界等で依然行われているようなことも耳にします。
 法人税においても、いわゆる談合金の支出は交際費に該当するとされています。これは、談合金は、自己に有利に入札を進めるための不正の請託に関連して支払うものであり、いわば一種のわいろのようなもので、贈答その他これに類する行為のための支出とされているためです。
 なお、談合金の支出と同様の性質を有するものとして、株主総会対策のための、いわゆる総会屋に対する支出があり、これも交際費に該当するものとされています。

税理士のアドバイス

 本来、談合金等の支出は、あってはならないものです。したがって、談合金等の支出があっても、それを外注費などの他の科目で処理し、なお、かつ、申告書でも交際費として申告加算しないケースがあるようです。
 このような場合、後日、調査において、この支出を交際費として否認された際には、仮装隠ぺい行為があるという理由で重加算税が賦課されますので、十分ご注意ください。

【参考法令】  措通61の4(1)−15(10)(交際費等に含まれる費用の例示)

 

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