目次 II-7


7 接待等の相手方の範囲はどこまでか(2)

不特定多数の一般消費者を対象としていない場合
 医薬品販売業者であるI社は、日頃の営業の落込みを阻止すべく、主要得意先である開業医を相手に、キャンペーンを実施することにしました。
 キャンペーンの内容は、期間中、一定金額以上の医薬品を購入した医者の中から、抽選で沖縄旅行に招待するというものです。
 キャンペーンの費用300万円は広告宣伝費として処理しました。

調査官の指摘
 貴社のキャンペーン費用は、不特定多数の一般消費者を対象としたものではありません。したがって、交際費に該当します。

会社の言い分
 当社の製品は、一般大衆を相手に販売するような性質のものではなく、取引先は開業医や病院になってしまいます。
 当社のような取引先を持つ会社が、このようなキャンペーンを行った場合、すべて交際費となってしまうのは一般消費者を取引先とする会社とくらべて不公平だと思います。



税務判断のポイント

 調査官の指摘どおり、300万円を交際費として処理すべきです。

 キャンペーンの対象者が、調査の際、問題となった事例です。
 広告宣伝費となるか、交際費となるかの判断基準の一つとして、その対象者がどのような者か、すなわち不特定多数の一般消費者かどうかがあげられます。
 本事例のような製薬会社と医者との関係をみると、医者は、最終的な医薬品の消費者ではなく、一般消費者には該当しません。
 会社側から見て、一般消費者を対象とするのと、医者を対象とするのでは、対象とする取引先もぐっと少なくなります。
 したがって、医者という特定の得意先の歓心を買い、自社製品の購入を期待したものと認められ、広告宣伝費ではなく交際費に該当することになります。
 なお、本事例のように相手方が一般消費者に当たらない取引関係の具体例として、他に化粧品製造業者と美容業者、建築材料製造業者と建築業者、肥料製造業者と農家などがあげられています。

税理士のアドバイス

 同じキャンペーンを行うのでも、一般消費者を相手にするのか、特定の得意先を相手にするのかで、キャンペーンの方法は同じでも交際費とされる場合があることに注意する必要があります。

【参考法令】  措通61の4(1)−9(注)(広告宣伝費と交際費等との区分)

 

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