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5 交際費として処理すべき時期はいつか |
調査官の指摘どおり、迷惑料の100万円は交際費に該当します。 この事例は工事迷惑料の性質及び交際費として処理すべき時期が問題となったケースです。 本事例のように、建物建設に伴う地元対策費の支出は、地域住民の権利意識が高まっている昨今、必ずといっていいほど発生するものです。 その支出が、日照妨害、電波障害等による損害を補償するものであれば、その金額が妥当な範囲内のものである限り、損害賠償金の一種に相当するものとして交際費には該当しません。しかし、工事の同意を得るために周辺住民に菓子折りや食料品・酒を配ったり、本事例のように現金を包むとなれば、その費用支出の目的からして交際費に該当するものとされます。 また、交際費は、当期において行われた接待等の行為のために支出した金額について課税が行われます。したがって、本事例のように当期に損金になっていない場合でも、当期の交際費として限度額計算の対象にしなければなりません。 なお、固定資産の取得価額に交際費が含まれているような場合は、その交際費を当期の限度額計算の対象とするとともに、固定資産に含まれている損金不算入となった交際費相当額を取得価額から減額する処理が認められています。取得価額を減額する方法は、次のどちらでもかまいません。
ただ、このような取得価額の減額が認められるのは、上記の2つの方法に限られ、本事例のように、後日、調査等により、取得価額に交際費が含まれていることが明らかになっても、修正申告等において取得価額の減額処理は認められませんのでご注意ください。
交際費は、当期において行われた接待等の行為のために支出した金額について課税が行われるのであり、支出した金額が、当期に損金になっているかどうかは関係がないことを認識しておくことが必要です。
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