目次 II-3


3 交際費に金額基準はあるのか(1)

会議費としてよい金額
 C社では、取引先との社内での打合せや商談中にお昼時になった場合、近所のレストランで一人1,000円から1,500円程度のランチを提供することにしていますが、相手によっては、その際、お茶代わりにビールを1、2本注文する場合もよくあります。
 C社ではこのような費用を会議費として処理しています。

調査官の指摘
 取引先との昼食代のうち、ビール等アルコールが含まれているものについては会議費ではなく、交際費として処理すべきです。

会社の言い分
 打合せ等の途中で昼食時になったため、昼食を提供しただけであり、アルコールといっても、ほんのお茶代わりです。
 また、相手方も、ランチとビール1〜2本程度では、接待を受けたという認識はないと思います。



税務判断のポイント

 調査官の指摘は誤りで、アルコールを提供したとしても、本事例程度のものであれば、会議費として認められる性質のものです。

 最近は、さすがに調査において、「アルコールが提供されていれば即交際費である。」という調査官は少なくなりました。
 しかし、交際費の調査の際、よく問題になるのが会議費と交際費の区別です。通達でも「通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物の接待に要する費用」は交際費にならないということしか明らかにされておらず、具体的な区分の基準がないことも、調査の際、よく問題となる原因の一つであると思われます。
 一人3,000円程度であれば会議費でよいという意見もありますが、これも、当局が明文化した基準ではなく、実際の調査の際、3,000円程度であれば否認されなかったケースが多いということから生まれた実務的な考え方のようです。

税理士のアドバイス

 法令等で具体的な基準がない以上、社内で一定の合理的な基準を設けて継続的に処理し、調査の際、その基準作成の根拠を十分説明して調査官の理解を得るという方法がベターであると思われます。
 なお、基準を定める際には、次に掲げる点等を考慮して定める必要があります。

(1) 食事の時間帯 昼か夜か、また、会議中か会議後か
(2) 食事の場所 会議を行うのにふさわしい場所か
(3) 金額・単価 相手の地位によりその金額は異なってくる場合もある
(4) アルコールを提供する場合はその程度 会議の途中であれば、当然その食事後、会議等が再開できる程度でなければならない

【参考法令】  措通61の4(1)−21(会議に関連して通常要する費用の例示)

 

目次 次ページ