目次 II-4


4 交際費に金額基準はあるのか(2)

少額なお中元・お歳暮費用
 D社は、従来、得意先等に対するお中元やお歳暮に係る費用をすべて交際費として処理していましたが、単価が3,000円以下のものは交際費にならないということを同業者から聞きましたので、今期はお中元やお歳暮のうち、単価が3,000円以下のものを交際費から除き、単価が3,000円以上のもののみを交際費として計算しました。

調査官の指摘
 お中元やお歳暮というものは、当初から相手方に対する贈答を目的として行われるものであり、単価がいくらであるかにかかわらず、その全額を交際費とすべきものです。

会社の言い分
 単価が3,000円以下の少額の贈答については、交際費にする必要はないと、世間ではよく言われており、当社の処理もそれに従ったもので妥当な処理だと思いますが。



税務判断のポイント

 調査官の指摘どおり、お中元やお歳暮の費用全額が交際費に該当します。

 よく、単価が3,000円以下の少額物品の贈答については、交際費にしなくてもよいなどという風評があります。しかし、この風評は誤りで、通達上、少額物品を交際費としなくてもよいとされているのは、売上割戻しで物品を交付する場合や景品引換券付販売の景品とする場合です。
 お中元・お歳暮や手土産の場合は、得意先等に対する贈答に該当し、たとえその物品の単価が3,000円以下であったとしても、その物品の贈答に要した費用は、交際費として処理しなければなりませんのでご注意ください。

税理士のアドバイス

 得意先に対するお中元・お歳暮や手土産の費用は金額の多少にかかわらず、原則として交際費に該当するという認識を持つことが必要です。
 もっとも、お中元・お歳暮でも「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭い」等の主として広告宣伝を意図するような物品であれば交際費に含めなくてもよいとされていますので、小口の贈答先には、このようなものをお中元・お歳暮のかわりとするのも一つの方法です。

【参考法令】  措法61の4(3)(交際費等の損金不算入)
 措令37の5一(交際費等の範囲)
 措通61の4(1)−4(売上割戻し等と同一の基準により物品を交付し又は旅行、観劇等に招待する費用)、
 措通61の4(1)−5(景品引換券付販売等により得意先に対し交付する景品の費用)
 措通61の4(1)−20(カレンダー、手帳等に類する物品の範囲)

 

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