目次 II-2


2 交際費とすべき金額はいくらか(2)

観光地で会議を開いた場合
 B社の販売代理店は全国に散らばっており、どうせ集まるのであれば、観光地のほうが喜ばれるだろうということから、新製品の説明を主とした営業会議を、観光地のホテルで、初日の夕方2時間程度実施し、翌日はゴルフ大会、翌々日は1日の観光を実施しました。なお、総費用は180万円で、その内訳は次のとおりでした。
 (1) 現地までの交通費・宿泊代    100万円
 (2) 営業会議代 10万円
 (3) ゴルフ・観光代 70万円
 B社は総費用180万円のうち、(3)のゴルフ・観光代70万円を交際費として処理しました。

調査官の指摘
 (3)のゴルフ・観光代70万円を交際費とするのは当然ですが、(1)の交通費・宿泊代は、接待・慰労と会議、双方に要した共通費であり、この中にも接待・慰労に要した費用が含まれています。
 したがって、(1)の交通費・宿泊代100万円のうち80万円(総日数2日半のうちの2日分)も交際費とすべきです。

会社の言い分
 (1)の交通費・宿泊代は、仮に会議のみを実施したとしても発生する費用ですので、交際費には該当しないのではないでしょうか。



税務判断のポイント

 調査官の指摘、会社の言い分、双方とも誤りです。
 日程からみて、観光地での営業会議の主たる目的は、代理店の接待・慰労であり、2時間程度の営業会議では、会議としての実体があるとは認められませんので、総費用180万円のうち、(2)の営業会議代10万円を除いた金額170万円を交際費として処理すべきです。


 遠隔地で会議と接待・慰労等を双方開催した場合、その区分が調査ではよく問題となります。
 特に、交通費・宿泊代がどちらに含まれるかという点がよく問題になりますが、現地で行った会議に実体があるかどうかが判断基準となります。
 本事例の場合、事実認定の問題もありますが、日程等からみると、観光地に代理店を集めた主たる理由は、代理店の接待・慰労であると思われ、製品説明を主とした2時間程度の会議では、会議としての実体がないと判断されます。
 したがって、まず、全体の費用を交際費とし、その中から会議に要した費用だけを差し引いて交際費の額を算定すべきだと思われます。
 逆に、主たる目的が会議であり、会議の実体があると判断されるような場合には、まず全体の費用を会議費とし、その中から接待・慰労に要した費用だけを交際費の額として差し支えないと思われます。

税理士のアドバイス

 本事例のように、遠隔地で会議と接待・慰労等を実施した場合、調査の際、必ずその内容を検討されますので、請求書、領収証等はもちろんのこと、案内状、日程表、参加者名簿、配付資料、会議の議事録等は必ず保管しておくようにしてください。

【参考法令】  措通61の4(1)−16(旅行等に招待し、併せて会議を行った場合の会議費用)

 

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