目次 II-1


II.交際費になる? ならない?


1 交際費とすべき金額はいくらか(1)

パーティでご祝儀をもらった場合
 A社は、創立10周年を迎えるに当たり、日頃の感謝もこめて、主要得意先、仕入先など約50名を招き、10周年記念パーティーをホテルで開催しました。
 その際の費用は、パーティ代、記念品代など合わせて150万円でしたが、得意先などの参加者からのご祝儀が70万円ありましたので、最終的な負担額は80万円で済みました。
 A社はその80万円を交際費として処理しました。

調査官の指摘
 会社が、接待等に要した額は150万円であり、ご祝儀として受け取った70万円は別の性格のものです。
 したがって、パーティ代とご祝儀は、相殺できず150万円が交際費の金額になります。

会社の言い分
 交際費の金額がいくらであるかは、会社が最終的にいくら負担したかにより決められるものです。本事例の場合、会社が最終的に負担した金額は80万円ですので80万円が交際費の金額になると思います。



税務判断のポイント

 調査官の指摘どおり、交際費とすべき金額は150万円です。

 交際費の額がいくらであるかという点については、接待の際、相手方からご祝儀等の金銭を受け取っている場合に、よく調査で問題となります。
 交際費は会社が接待等に要した金額がその額となります。したがって本件の場合、法人が支出した交際費の額はあくまでも150万円とされ、ご祝儀の70万円は交際費とは別に雑収入として計上すべきものとされます。
 しかし、これがご祝儀ではなく会費であればどうでしょうか。会費であれば、パーティ費用の150万円と会費の70万円との相殺後の金額80万円が交際費となります。
 どうしてこのような違いがでてくるのでしょうか。それは、ご祝儀は接待される側の任意で支払われるのに対し、会費は、その会費を支払わなければ、パーティに参加できず、いわば、パーティ費用のうち一部を参加者が負担したことになるからです。

税理士のアドバイス

 ご祝儀等を受け取った場合、支出した交際費と相殺していないかを事前にチェックしておく必要があります。
 また、パーティや、ゴルフコンペなどを開催する場合、交際費の額を抑える目的で、割り切って会費制にするかどうかを開催前に検討しておく必要があるでしょう。

【参考法令】  措法61の4(3)(交際費等の損金不算入)
 措通61の4(1)−15(1)(交際費等に含まれる費用の例示)

 

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