目次 I-5


5 どこまでが修繕費の範囲となるか(1)

事業開始前に行われた補修費用
 G社は、H市に営業所開設のため中古建物を購入しました。
しかし、建物が、かなり老朽化していたため、雨漏り部分の補修、壁の塗り替え、傷んだ床面部分の補修等の修理を施した上、営業所として使用開始しました。
 これらの補修は、特に改良のための支出ではなく、現状維持のための支出であるため、修繕費として処理しています。

調査官の指摘
 工事の内容は、通常の維持管理に要するものかもしれませんが、事業の用に供する前の支出であり、修繕費とは認められません。

会社の言い分
 工事内容は、建物の高値を高めるものでも、耐用年数を延長させるものでもないため、修繕費に該当するものです。



税務判断のポイント

 調査官の指摘どおり、修繕費処理は認められません。

 本事例の場合、工事の内容は、会社の言い分のとおり、建物の価値を高めたり、耐用年数を延長させたりするものではありません。
 しかし、購入した減価償却資産について事業の用に供するために必要な補修を行った場合、通常は維持管理等のための支出で修繕費として処理できるようなものであっても、事業の用に供するための支出と認められ、その資産の取得価額に含めなければなりません。

税理士のアドバイス

 その内容が修繕費に該当するものであっても、購入した資産に対し、事業の用に供する前になされた支出は修繕費とは認められませんのでご注意ください。

【参考法令】  法令132(資本的支出)
 法基通7−8−2(修繕費に含まれる費用)
 法令54(1)(減価償却資産の取得価額)

 

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